阪神は「大阪タイガース」時代のユニホームをまとって巨人戦に臨んだが、延長12回の激闘の末、悔しい敗戦を喫した。借金は14。前回の巨人戦は敵地で3連勝したが、今季の対戦成績は5勝5敗になった。

最高のムードだった。0-2で迎えた9回。簡単に2死を取られ、昨季を早くも上回る12度目の0封負けが目前に迫った。

ここで、佐藤輝明内野手(23)がしぶとく左前打で出塁。続く大山悠輔内野手(27)は2球で追い込まれた。3球目、巨人デラロサが外角を狙ったスライダーがど真ん中に入ってきた。大山は失投を逃さず、完璧にとらえて左翼席に放り込む2ラン。土俵際で打線が意地を見せた。

それでも勝ち切れないのが今年の阪神だ。延長12回、マウンドにはラウル・アルカンタラ投手(29)。先頭の打球を遊撃の中野拓夢内野手(25)が失策。死球と安打で無死満塁とされると立岡宗一郎外野手(30)に右前打を打たれ、致命的な勝ち越しを許した。中田翔内野手(33)にも2点打を浴びた。ベンチ入り全9投手をつぎ込む総力戦は実らなかった。

もともとは負け展開だった。頼みのエース青柳晃洋投手(28)は6回2失点と粘った。8奪三振は今季自己最多。再び規定投球回に乗り、防御率はリーグトップの1・33。

だが、打線が巨人戸郷翔征投手(22)に苦しめられた。1回、2回と併殺打でチャンス拡大できなかった。7回も落ちる変化球で併殺を食らった。相手の注文通りに打たされた。青柳の力投に応えられず重いムードが続いたが、大山の一打で振り払った。サヨナラ勝ちへのシナリオはでき上がっていただけに、悔しい結末となった。

巨人との共同プロジェクトで両軍が1リーグ初年度の復刻ユニホームを着用した。阪神は胸に「OSAKA」と書かれた大阪タイガース時代のグレーのデザイン。今季2度目の試みだが、4月1日からのカードでは3連敗。これで今季は4戦全敗となった。首位ヤクルトも敗れたため、最短の自力V消滅は1日延びて22日になった。

○…近本が今季自己ワーストを更新する19打席連続無安打に倒れた。8回2死二、三塁で中飛に倒れ、一打同点の絶好機を生かせず。延長10回2死二塁のサヨナラ機では左腕高梨に空振り三振に仕留められた。昨季最多安打男の打率は2割4分9厘まで下降。不動のリードオフマンがブレーキになってしまった。

○…7回表の守備から途中出場した長坂が、2度の好機で凡退した。2点ビハインドの8回1死二、三塁、同点の延長10回1死二塁でともに空振り三振。試合が動く重要な局面も代打を送れず。ベンチには今季から捕手登録を外れた原口しか捕手経験のある選手が残っていなかった。守備では中継ぎ8投手を懸命にリードしたが、延長12回表に4点を献上した。

○…岩貞が1イニングを3者凡退で抑えた。2点ビハインドの7回に2番手で登板。中山、戸郷を連続三振に仕留め、1番丸は二ゴロに封じた。「とにかく勝ちたいという一心で投げました。任された仕事は果たせたと思います」。前日19日のヤクルト戦(神宮)では2/3回を投げ2失点と崩れたが、1日で信頼を取り戻した。

○…加治屋が1イニングを10球で無失点に封じた。8回に3番手で登板。ウォーカー、吉川、岡本の上位打線を3人で切り抜けた。「攻撃にいい流れを持ってこれるように、テンポ良く投げることを心がけました」。前日19日のヤクルト戦では8回2死三塁のピンチで登板し、山田に適時二塁打を浴びていたが、切り替えて仕事を全うした。

○…湯浅が1回3人斬りの好投で、11試合連続無失点とした。同点の延長11回に登板。増田大、北村を連続三振に封じ、最後は大城をこの日最速の152キロ直球で一ゴロに仕留めた。これでリーグ2位タイの11ホールド。「攻撃に流れを持ってくることができるような攻めの投球をしようと心がけました。しっかりと自分のボールを投げ切ることができたと思います」と振り返った。

▽阪神斎藤(2点ビハインドの9回に登板し、1安打2奪三振で無失点)「投手陣が粘りながらつないできてくれていましたし、何とか自分も0に抑えて、攻撃に流れを持ってこれるような投球ができればと思っていました」

▼阪神の今季自力優勝の可能性は、最短で22日に消滅する。21日から、ヤクルト○○なら阪神●△または●●、ヤクルト○△または△△の場合は阪神●●。なお阪神は、初めてセ・リーグ単独最下位として交流戦に臨むことが決まっている。