衝撃デビューだ! ソフトバンク4年目の渡辺陸捕手(21)が、プロ初スタメンで2発を含む3安打5打点の大暴れだ。

「日本生命・セパ交流戦」の広島戦。2回に森下からプロ初安打を初本塁打で飾ると、4回にも2打席連続弾。6回には適時打で初の猛打賞も決めた。育成出身で今月24日にプロ初の1軍昇格を果たしたばかりの“ポスト甲斐”が強烈な光を放った。

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鷹党も鯉党もどよめいた。2回に1点を勝ち越してなお1死一、二塁。渡辺がプロ4打席目で、左翼ホームランテラスにきれいな放物線を描いた。「いや、もう最高でした」。プロ初安打が本塁打。しかも相手は20年セ・リーグ新人王の森下だ。「初ヒットがホームランになったんですけど…難しい感情です。ホームランになったんだなって」。信じられなかった。

VTRのように、4回も森下から左翼テラスへ2打席連発。6回にも左前適時打を放ち、2発を含む3安打5打点の大暴れだ。森下対策で左打者8人が並び、甲斐が48試合目で初めてスタメンを外れて巡ってきたプロ初先発マスク。衝撃デビューで12安打11得点の大勝を導いた。

前日27日、王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(82)から特別指導を受けた。「もっとボールに角度をつけろ。自分で責任を持ってボールを打て」。チームがグラウンドで練習する中、2人で室内練習場にこもった。「簡単に、適当に打つな。1球1球思い描く打球を打てと言われました」。今春のキャンプでも王会長に指導を直訴した21歳。世界のキングのゲキを胸に翌日、2発で応えた。

18年に育成ドラフト1位で入団。だが2年目の夏、慢性的な腰痛で捕手をやめようと思ったという。踏みとどまったのは神村学園時代から目をかけてもらっている岩井隆之アマスカウトの言葉だった。「『お前はキャッチャーとして取ったんだ』と言われて。だからキャッチャーで活躍したいって」。地道な努力で昨年8月に支配下選手登録を勝ち取り、今月24日にプロ初の1軍昇格を果たした。

甲斐の存在は絶対的だ。だが、藤本監督も“ポスト甲斐”と認めた。「将来的に甲斐と渡辺が競争してほしい。あと何年か後、肩を並べるくらいになるんじゃないですか? それだけの力は持ってる選手です」。

受けては大関の4勝目を導くなど、好リードで一緒にお立ち台にも上がった。交流戦初のカード勝ち越しをけん引。千賀-甲斐に続く、次代の育成出身バッテリーが輝いた。【只松憲】

◆渡辺陸(わたなべ・りく)2000年(平12)9月24日、熊本県生まれ。神村学園では3年夏の県大会で初戦敗退も、5番捕手で出場して5打数3安打をマーク。18年育成ドラフト1位でソフトバンクに入団。趣味は「ご飯を食べること」で好物は焼き肉。憧れの選手はOBの松中信彦氏。今季はウエスタン・リーグで打率3割1分8厘、2本塁打、14打点。187センチ、84キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は600万円。

○…大関が7回1失点の好投で4勝目を挙げた。初回に1点を与えたが、2回以降は1軍初マスクで同じ育成出身の渡辺の好リードもあり7回まで無失点。「勝ちたい思いが強かった。陸(渡辺)が引っ張ってくれて。勝てて良かった」。本拠地初のお立ち台にも呼ばれて笑顔を見せた。藤本監督も3年目左腕の好投に「2回以降は素晴らしい投球だった。先発ローテの一角を勝ち取ったと思う」とたたえた。

○…柳町が決勝打を含む2安打3打点で奮闘した。同点とした2回なお1死三塁。森下の143キロツーシームを左前に運ぶ勝ち越しタイムリー。柳町は慶大出身で、明大出身の同学年右腕の森下とは大学の侍ジャパン仲間。「負けたくない気持ちも強かったので、勝ち越しの1本が出て良かった」と会心だった。7回にも薮田から右中間を破る2点適時打。連続試合安打を8に伸ばし、好調な打撃をアピールした。

▽牧原(2回に右翼へ2号ソロ) 今宮さんが(コロナ濃厚接触の疑いで)抜けている中、ショートのポジションをカバーできるように自分の役割を全うしていくだけです。byジョーカー。

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