オリックスの椋木蓮投手があと1球で快挙を逃した。ノーヒットノーランまであと1人の9回2死。しかも2ストライクと追い込んだ。だが日本ハムの代打佐藤に投じたこの日116球目。三振を奪うために投じたスライダーが甘く入った。

「投げた瞬間に甘い球でヤバイと思った。(中安打は)『やっぱ打たれるかぁ』って」

打球が頭上を通過し「めっちゃ遅く感じた。あぁあぁって感じでした」と苦笑いで拳を強く握った。直後に降板。マウンドで高山投手コーチに頭をなでられ、お役御免となった。

新人のノーヒットノーランなら、87年8月9日の巨人戦(ナゴヤ球場)で中日近藤真一が「プロ入り初登板ノーヒットノーラン」を達成して以来だった。椋木はあと1球に泣き、9回途中1安打無失点。それでも11三振を奪う快投はあっぱれだ。新人投手でプロ初登板から2戦連続の先発白星は球団初。大記録こそ逃したが、歴史に名前を刻んだ。

自身の手でつかみたかったウイニングボールは、あと1人を託した守護神の平野佳から受け取った。7月7日西武戦(京セラドーム大阪)でプロ初登板初先発初勝利を飾ってから、中12日。「ここで最初に(ノーヒットノーランを)達成してテングになるのもよくない。良い経験だったんじゃないかな」とスッキリした表情で話した。

中嶋監督は「ゾーンでしっかり勝負できていた。本当に良い真っすぐ。質の良い独特の軌道だと思います」とドラフト1位右腕の本領発揮をたたえた。球数116球に「いや、代えられへんやろぉ…。110、120(球)までの体力があるという(情報)のはあった。それでもリミッター解除した感じもある」と偉業に期待を込めた続投だったと明かした。

日本ハムに連勝でカード勝ち越しを決め、借金1。5位ながら首位とは3・5ゲーム差。“新星ムック”の出現で、連覇も見えてきた。【真柴健】

○…主砲の吉田正が入団から7年連続の2桁本塁打を放ち、新人右腕椋木を援護した。3回1死一塁から左腕根本のスライダーに体勢を崩されながらも「(バットの)ヘッドは残ってたので、角度もよかったです」と右中間スタンドに10号決勝2ランを放り込んだ。

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