コロナ禍に見舞われていた巨人が、7月18日ヤクルト戦以来となる勝利をつかんだ。

先発した2年目の山崎伊織投手(23)が、8回3安打無失点、無四球の快投で“カツ”を運んだ。チームの連敗を4で止め、自身にとっても5月18日以来の3勝目。打線も2回に好調気配の中田の先制打を皮切りに、一挙5得点の強力援護で応えた。

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心地よい疲労感につかりながら、ベンチに腰を下ろした。山崎伊が8回2死、阪神梅野を内角142キロシュートで三ゴロに仕留めた。プロ最長の8回を投げきり「めちゃくちゃ疲れてます」。7回終了時に志願の続投で8回のマウンドに上がった。危なげなく3者凡退で切り抜け、桑田投手チーフコーチとグータッチした。

チームの苦境で踏ん張った。新型コロナウイルスの陽性者が続出して試合が順延となり、登板機会が約3週間空いた。「体の使い方、タイミングもズレていた。走ることから、キャッチボールから全部見直して2週間練習できた」と試合のない期間を有効活用。2カ月半、勝ち星から遠ざかるも「何か絶対原因はある。勝ちたいと思ってたけど、先発としての役割を全うできるようにと思って投げました」と、勝ちを意識しすぎずに役割に集中した。

小学生時代から故郷の兵庫で“カツ”を運んできた。小学校高学年のときの母の日だった。近所のコロッケ屋に立ち寄ってハムカツを購入した。油が染みた紙袋に「母の日用」と書き込んでプレゼントした。母美佐さん(54)は「普通はなかなかハムカツは選ばないですよ(笑い)。あの子らしいなと。すごくうれしかったです」と温かい思い出は今でも大事に胸にとどめる。

チームに7月18日以来となる5戦ぶり、後半戦初勝利を届けた。原監督も「1つ我々の目標は勝つこと。その意味では非常にナイスゲームだったと思いますね」と評価。山崎伊は「長い間、勝ちが遠かったので、長いイニングを投げて抑えられて、本当に後半戦の良い1歩が切れました」とかみしめた。2年目右腕の快投から巨人の後半戦が始まった。【小早川宗一郎】

◆山崎伊織(やまさき・いおり)1998年(平10)10月10日、兵庫県生まれ。明石商では3年春のセンバツ出場も、登板機会なし。東海大に進み、3年春秋にリーグMVP。大学日本代表にも選出。20年ドラフト2位で巨人入団。大学4年に受けたトミー・ジョン手術の影響で1年目は登板なし。今年3月26日中日戦で初登板し、4月28日DeNA戦で初勝利。今季推定年俸1200万円。181センチ、81キロ。右投げ左打ち。

○…丸が7年連続の20号本塁打を記録した。5点リードの7回1死、阪神アルカンタラの139キロスライダーをバックスクリーン右へ運び「甘く入ってきたスライダーを自分の形で捉えられた。このスイングを続けていきたい」と喜んだ。記録については「サポートしてくれているトレーナー、スコアラー、いろんな方々に支えられてプレーできていることに感謝したい」と語った。

○…中田が2回無死一、二塁で「コンパクトに強く振ろうと思っていた」と、右中間へ痛烈な先制適時二塁打を放った。コロナ療養中は「野球がやりたい気持ちを抑え、家の中で出来る事をしっかりやって過ごしていた」という。3日から若手に交じり早出練習に参加して打撃を確認したことも奏功し、前日から4打席連続安打も記録した。

○…試合前に「野球伝来150年セレモニー」が開催され、日本人初のメジャーリーガーで「マッシー村上」こと村上雅則さんが始球式に登場した。ワンバウンド投球を披露し「最初に依頼をいただいた時は『私?』とびっくりしました。皆さんに投げる姿を見ていただいて最高の気分です。本当に皆さんに感謝、感謝です」と振り返った。

○…3年目の堀田が救世主になる。5日からの首位ヤクルトとの3連戦(神宮)の初戦に先発する。7月3日広島戦では約2カ月ぶりの登板も、4回途中3失点。チームが“コロナショック”に揺れる中、感染せずに状態を整えてきた右腕は「しっかり準備してきました。ファームでやってきたことも含めて試合で力が出せるように、そしてチームに勢いをつけられるように頑張ります」。3月のプロ初登板初勝利以来の2勝目を狙う。

◆コロナ禍の巨人 7月20日の試合前に大勢と菊地が陽性判定。試合後には出場していた岡本和、丸、中田ら選手20人と、コーチ陣らを加えた計38人の陽性判定を発表。同22~24日の中日戦が延期となった。22日には、球宴に選ばれていた大勢、菅野、中田、岡本和、丸の出場辞退を発表。スタッフも含めて陽性者は80人以上を数え、後半戦最初の同29~31日DeNA戦も延期に。今月2日阪神戦からようやく再開となった。

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