6番に降格した阪神佐藤輝明内野手(23)が、泥だらけになって執念を示した。

4回。1点リードし、なお1死一、三塁。坂本のスクイズで、ヘッドスライディングで本塁を陥れた(記録は犠打野選)。背番号も見えないほど、背中は茶色に染まっていた。

直前の一打が死闘の始まりを告げた。1死一、二塁で石川から右前へ一時同点となる適時打。「打線がつながってできたチャンスでしたし、なんとかまずは同点に、という思いでした。1スイングでしっかり仕留めることができてよかったです」。先制点を献上した直後、やり返す心が流れを引き寄せた。

2点ビハインドの6回には、中越え三塁打でチャンスメーク。糸原の二ゴロで1点差に迫るホームを踏んだ。今季8本目の三塁打は中日岡林に並びリーグトップ。31本の二塁打はリーグ単独トップと、長打“2冠”だ。本塁打キング独走のヤクルト村上に52号アーチを見せつけられたが、負けじと虎の大砲も甲子園を沸かせた。

7回2死二塁では右前打。期待が大きいからこそ、ため息も大きかった。同点の9回裏は2死一塁で一ゴロ。2点ビハインドの延長11回無死一、二塁では田口に3球三振に仕留められた。あと1本出ていれば…。悔しさも残った。

昨季は夏場以降、NPBワーストの59打席連続無安打とどん底を味わった。悪い流れにハマればズルズルと抜け出せなかったが、2年目の今季は違う。8月17日以来、20日ぶりに6番降格した一戦で今季7度目の猛打賞。前回6番降格した8月16、17日の2戦も8打数3安打、1本塁打と、意地を見せるかのように快音を響かせていた。黙ったままでは終わらない。その反発力が、残り15試合も必要だ。【中野椋】

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