DeNA宮崎敏郎内野手(33)が、プロ10年目で達した1000安打の節目に際し、自らその特徴的な打撃フォームを解説した。2000安打を達成している巨人坂本を「天才的な打撃」と驚嘆させたバッティング。そのポイントをひもといた。

僕は小学生のころから、基本的に同じような打ち方をしています。体が小さかったんですが、人よりも遠くに飛ばしたいという思いが原点。自分の中で、ボールを捉えた瞬間に一番力が入るのが、今のフォームです。「ここに当たればここに飛んでいく」「ここに当たればこっちに飛んでいく」っていう感覚を探りながらやっていく中で、たどりついたんだと思います。

僕のフォームは少し複雑に見えるかもしれませんが、意識していることはシンプルです。最終的に大事にしているのは左足。なので、まずは下半身の動きから見ていきます。

(1)では両足のつま先に力を入れて、しっかり地面をかむイメージです。右足にも左足にも力が入っていますが、(重心の意識は)右に8、左に2くらいです。

動きだしの(2)では、右半身に力をためている状態なんですが、左足にめちゃくちゃ力が入ってます。見た目では分からないかもしれませんが、どちらかというと、軸足の右足よりも、左足の方を意識しています。

そして、左足に力を入れながら、来るボールに対して探ってるっていう感覚が(3)。左足を地面につくタイミングを探っている感じです。そのまま、(8)くらいまで左足に力を入れてる状態。インパクトの(9)くらいまでは左足しか意識していません。力を入れている部分は、バットを出し始める(7)からインパクトの(9)の間は、左足の親指だけ。前方向への力を逃さないようにしっかり受け止めるイメージです。

次に上半身です。構えの(1)では、腕をなるべく体に近づけた状態にしています。内→外へは対応ができますが、逆の外→内は難しい。(8)、(9)で自然体で回るために、グリップも含めて腕を体の近くに、という意識です。

どちらかというとバットの重みを使って打ちたいタイプ。なので(1)~(6)までは、腕に一切力を入れていません。グリップは(3)で1度落とし、そこから上げてきていますが、この動きも力は入っていません。(4)でバットのヘッドが(投手寄りに)入ってくるのも、バットの重みを使いたい意識の表れだと思います。

バットの握り方も左右とも第2関節までで包むような感じで、持ってるという感覚はないです。写真では見づらいかもしれませんが、グリップエンドから0・5ミリくらい空けて短く持っていて、操作性も意識しています。少し短く持つことで、左肘が抜けて手首を返さずに打てるので。

(5)くらいが、いわゆるトップの状態ですが、他の選手に比べてトップのタイミングは遅いかもしれません。これは「早めに作りすぎない」ことを意識しているからです。(トップを)早く作って待っておく状態になると、全部が止まってしまうような気がして、ボールに差し込まれる一番の原因になると思うので。感覚的にはゆったり、ゆっくりです。

左足を大事にしているのも、この感覚からです。軸足の右足に意識が寄ってしまうと「待つ」方向に行きがちになってしまいます。待たない状態にすることが、僕のフォームのベースになっています。

▼通算1000安打=宮崎(DeNA) 17日の広島25回戦(横浜)の1回、玉村から右前打を放って達成。プロ野球315人目。初安打は13年6月2日の日本ハム3回戦(旭川)で武田勝から。