阪神のV逸が決まった翌日、甲子園は満員の4万2614人でほぼ黄色に染まった。だが、クライマックスシリーズからの下克上日本一を願う虎党の前で、今季ワーストタイの3失策に26度目の完封負け。首位ヤクルト相手に、打てず守れずで完敗した。

決勝点は6回に2つ続けて出た送球ミスで失った。先頭塩見の遊ゴロを中野が一塁手原口が届かない高さへ悪送球。スタンドへ入り無死二塁に。続く山崎の投手前へのバントを藤浪は一度三塁を見て、一塁へ投げたが、二塁方向にそれる悪送球。塩見が生還した。さらに失策はつかなかったがカバーに入った右翼手佐藤輝ももたついた。

矢野監督は「まず拓夢(中野)がね。しっかり、スローイングのミスは減らしていかないと。あまりにももったいない」と厳しかった。中野は3回にも同じく塩見の遊撃へのゴロで一塁へワンバウンドの悪送球をしており、この日2失策。今季17個目となった。藤浪についても「打者(山崎)のことを考えたら、すぐに一塁に投げないとね。そこらへんはもったいない。投球自体は空振りもしっかり取れてよかったと思うけど」と、一塁で確実にアウトを取るべき打球だったと嘆いた。

今季82失策はリーグワースト。日本ハムの83にも1個差となり、5年連続での12球団ワースト失策の危機だ。矢野監督は「はい。反省しています」と受け止めた。積極的に攻めた守備で捕れないのではなく、悪送球が目立つ。この日試合がなかった広島に3位に並ばれ、5位巨人とも0.5差。残り6試合。課題の守りで球際の強さを見せられなければ、短期決戦での下克上どころか、CS進出も厳しいものとなる。【石橋隆雄】

▼阪神は今季26度目の完封負け。62年国鉄(現ヤクルト)と並び、セ・リーグ史上5位タイの屈辱となった。

▼1試合3失策は、5月19日ヤクルト戦、8月14日中日戦と並び今季最多。なお適時失策が決勝点となっての0-1敗戦は、18年7月8日DeNA戦3回の北條の失策によって敗れて以来。

▼阪神は島田が今季20盗塁に達し、近本27、中野22と合わせて20盗塁以上が3人となった。阪神では60年三宅秀史29、並木輝男23、吉田義男20盗塁の3人以来62年ぶり。なお球団シーズン最多は54年の4人で、吉田義男51、渡辺博之30、田宮謙次郎30、金田正泰28盗塁。

○…浜地がピンチをしのいだ。藤浪の後を受けて7回にマウンドに上がった。先頭打者の安打と犠打で1死二塁と得点圏に走者を背負ったが、後続を抑えて無失点で終えた。「ランナーは出しましたが、粘ることができてよかったです。今日はファンの方々の声援が、いつもより一層、大きく聞こえましたし、それが力になって抑えることができました」とファンに感謝した。

○…ケラーが“村神様”を封じた。8回に3番手で登板すると、まず先頭の山田を空振り三振。続く4番村上はフルカウントからの7球目、141キロのスプリットで空振り三振に仕留めた。「(村上は)素晴らしい成績のシーズンだと思うし、失投は許されない打者なので、攻める気持ちを持ちながら、しっかり丁寧に投げることができたね」と満足げ。オスナも遊ゴロに抑えて中軸を3人で切る完璧な投球だった。

○…湯浅が鉄壁の救援ぶりを見せた。1点を追う9回に4番手で登板し、2三振を奪うなど3人でしっかりと抑え無失点。「1点ビハインドの場面でしたし、なんとか攻撃にいい流れをと思ってマウンドに上がりました。しっかり3人で抑えることができてよかったです」。これで、23試合連続無失点と安定感はハンパない。

○…島田が20盗塁を決め、近本、中野との20盗塁トリオが完成した。球団では62年ぶり。7回に原口の代走で途中出場。盗塁を試みたが、ヤクルト中村の好送球で阻まれた。それでも、9回2死二塁でマクガフの141キロの変化球を捉え右前打でチャンスを拡大。続く佐藤輝の打席で盗塁に成功。得点には結びつかなかったが、積極的な姿勢を見せた。

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