「きつねダンス」効果だ。日本ハム加藤貴之投手(30)が今季2度目の完封勝利で、キャリア最多タイ7勝目を飾った。自身2戦連続となったロッテ戦で、敗戦投手となった前回のリベンジを果たし、9回6安打無失点。「きつねダンスDAY」の盛り上がりに負けず、スタジアムを盛り上げた。チームの最下位確定から一夜明け、仕切り直しの一戦で左のエースが躍動した。

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「きつねダンスDAY」にふさわしいヒーローが、躍動した。きつねの尻尾をつけた加藤が、ヒーローインタビューに登場した。今季2度目の完封勝利。打者のタイミングをずらす独特のテンポで、凡打の山を築いた。「先頭を出さなかったところと守備に助けられた。野手とキャッチャーに感謝です」と最敬礼だ。

球団公式YouTubeチャンネル内の「加藤の謎きつねダンス」は再生数84万超を記録。絶妙に脱力したダンスと、隣で踊る球団マスコットのフレップの戸惑う姿が相まって再生数を伸ばしている。「まだバズっていないので、もうちょい見てほしいです」。お立ち台でのダンス披露に期待が集まったが「ちょっと疲れていたのでやめました」と苦笑いを浮かべた。

イニング間に複数回行われた「きつねダンス」を横目に快投した。8回、初めて三塁に走者を進めたがピンチを断つと「変なスイッチが入った」。加藤投手コーチに続投の意思を聞かれ「あんまり言わないですけど『投げさせて下さい』と。投げたいなという気持ちになったんですよね」とポーカーフェースの裏でアドレナリンがあふれていた。

「きつねダンス」のモチーフになっているキタキツネのフレップとは、入団当初から不思議な関係を築いてきた。フレップにだけハイタッチしない塩対応ぶりが話題となった。フレップは「心友!…だと勝手に思っています」。加藤は「(心友と)思うのは勝手なので。あんまり心開かないようにしています」と相変わらずの塩対応も、きつねパワーを受け取った。

プロ7年目でルーキーイヤーに挙げた自己最多7勝目に並んだ。「もう1試合(登板が)あるので、しっかり調整してしっかり投げたい」。左のエースはきつねのごとく、まだまだ化ける可能性を秘めている。【田中彩友美】