杜(もり)の都に“ミスターゼロ”が生まれた。楽天宮森智志投手(24)が、デビューから22試合連続無失点を達成。21年広島栗林に並び、プロ野球タイ記録となった。21年育成ドラフト1位で楽天に入団し、7月30日に支配下登録。8月2日ロッテ戦(楽天生命パーク)でプロ初登板を迎えた。そこから投げるたびに安定感を増し、ブルペンに欠かせない投手になった。

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宮森は闘犬のように、荒々しく打者へ向かっていった。2点リードの延長11回に6番手として登板。193センチ、93キロの恵まれた体格から、ストライクゾーンへどんどん投げ込む。先頭源田を直球で三ゴロ、続く森をフォークで中飛に打ち取った。西武の主砲山川には、フルカウントから外角低め129キロで空振り三振。「全力で腕を振って抑えるだけだと思って、その気持ちだけを持っていきました」。最後は感情を爆発させ、雄たけびを上げた。

目の前の仕事に徹し続けて記録を達成。「1つ1つの積み重ねなので、これからも全力でやっていこうといつも考えてやっています」と表情を引き締める。“ご祝儀”のように、プロ初セーブも達成した。育成ドラフトで入団した投手が1年目にセーブを挙げるのは史上初。タブルで快挙の1日となった。

四国IL・高知時代に得た武器が今を支える。昨年、独立リーグ時代のチームメート、ソフトバンク藤井からフォークを教えてもらった。「自分の長所が高身長というのもあって、落差のあるボールがあった方が武器になると思った」とうなずく。投球の幅が広がり、活路を見いだした。この日も16球中、5球で落差ある変化球を投げ込んだ。

投げるたびに自信と、評価が増す日々。今では、接戦時のマウンドを任されるようになった。プロ野球タイ記録もまだまだ通過点。「シーズンが終わるまでゼロを貫いていけるように全力で頑張っていこうと思います」と闘志を燃やした。ゼロを追求し続けていく。【湯本勝大】