亜大の最速147キロ右腕、草加勝投手(3年=創志学園)が、公式戦初先発で初完封勝利を飾った。

キレのある直球を軸に、スライダー、カーブ、ツーシームを制球良く投げ、打者を見ながらタイミングを外し、奪った三振は8。中央打線を3安打無失点に抑えた。「試合前のブルペンから監督さんに『自信を持っていけ』と言われて、後のことは考えず、1人1人抑えていこうという気持ちで投げました」。試合後、生田勉監督(56)が「今のボールなら全然落ち着いている。今日は100点満点の出来ですね」と話すと、草加は隣で笑顔を見せた。

これまでチーム事情もあり登板のチャンスがなかった草加を、生田監督は「苦労人」と紹介した。

高校時代は、阪神西純矢投手の2番手投手で背番号10。目立った活躍はできなかった。亜大進学後は、1年からバッティング投手を買って出ては1日300球近くを投げ、休日も1人で練習を重ねた。「投げる体力がついて、制球力があがったと思います」。地道な努力が実を結んだ。

どんなに苦しくても、大きな目標があるから耐えられた。「上を目指したい」。それは、同級生の西純が立つプロ野球の舞台。いつまでも、負けてはいられない。いつか同じ舞台に立つために、これからも努力は欠かさない。

「打者1人1人にしっかり集中して、上を見ずに、しっかり地に足をつけてやっていきたいと思います」。「苦労人」の草加らしく、落ち着いた口調で前を向いた。【保坂淑子】