“伊勢大明神”が、チームの大ピンチを救った。DeNA伊勢大夢投手(24)が、3点リードの8回無死満塁から登板。4番中田、5番岡本和、代打中島をねじ伏せ、無失点に抑えた。リーグ最多の67試合目の登板で、自身が持つ球団記録のホールドポイントを40に更新。チームは首位ヤクルトとの差を6に縮め、23日のヤクルト3連戦(神宮)で奇跡の逆転優勝へのラストチャンスに懸ける。

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マウンドに“伊勢大明神”が降臨したのは、絶体絶命のピンチだった。乱調のエスコバーに代わって、3点リードの8回無死満塁から登板。「ホームランだけ警戒して。ヒットは打たれても1点しか入らないので、そのくらい腹くくって」。4番中田をスライダーで右飛、5番岡本和は速球で見逃し三振とし、代打中島は速球で二飛に詰まらせ、力強く拳を握った。

力と技、駆け引きも駆使しながら投じた「伊勢の15球」だった。スライダーを4球交えながら、「困ったら、真っすぐ」と軸にしたのは最速152キロをマークした速球だった。首を振る場面もみられたが、包み隠さずに「いや、嶺井さんが首振りのサインを使ったので。僕の意思ではありません」と嶺井との共同作業で打者を幻惑した。

降板した仲間を思いながら、後ろで控える仲間を心から頼った。「一緒にやってきた仲間が打たれて、僕が絶対カバーしようと」。闘志満々でリリーフカーに乗る直前、守護神山崎の姿が目に映った。「相当状態もいいですし、信頼してるので、ヤスさんに『2点取られます』と言おうかなと思ったくらい、楽な気持ちで上がった。抑えられたのはヤスさんのおかげ」。

リーグ最多の67試合目の登板で、自身が持つ球団記録のホールドポイントを40に更新した。今季初めてお立ち台に呼ばれ「もっと早く呼んで欲しかったなって。心から思います」と笑った。首位ヤクルトとの差を6に縮め、23日からは奇跡の逆転優勝へ望みをかけるヤクルト3連戦。「僕たちが負けなければ何か起きると思って、全試合勝ちにいくのは当然」と決意。三浦監督は「勝つために神宮に行く」と“反撃”の号令をかけた。【久保賢吾】

▽DeNA三浦監督(伊勢の好リリーフに)「強気にいきながらも慎重に。腹くくってね、堂々としたピッチングをしてくれた。最高のピッチングでした」

▽牧(1回に先制の適時打)「昨日、ああいう悔しい負け方をしたので、何とか先制点というところで、いい形になったのかなと思います」

▽宮崎(6回に2試合連発の13号ソロ)「健大(石田)が頑張っていたので、何とか塁に出ることを考えていました。最高の結果となり良かったです」

○…石田が、6回無失点の好投で今季6勝目を挙げた。10日の阪神戦で左足首を捻挫し、12日に登録を抹消。違和感も多少残る中、中11日のマウンドで気力で抑えた。「絶対に負けられないと思って、マウンドに上がった。野手の方、中継ぎの方のおかげで勝てた試合です」と感謝。好リリーフの伊勢には「本当に頼りになるなと。何も心配なく、ベンチで見てました」と称賛した。

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