先発の責任投球回を投げきれなくても、ヤクルト山下輝投手(23)は温かい拍手を受けた。5回2死一、三塁から中日A・マルティネス、高橋周の連続適時打で降板。デビュー戦は4回2/3、9安打3四球2失点だった。毎回安打で、味方の援護を呼べなかった。「もう少しリズム良く投げて流れをつくりたかったです」と反省した。

もっとも、ドラフト1位左腕への高津監督の言葉も温かかった。「低めを意識していて、ストライクを取れるボールもある。結果はやられたけど、ピッチングにはなる」。右打者の内角を直球とカットで突き、緩急も交えた。山下は「ゾーン内で勝負していこうという言葉を頂いたので、ランナーを背負っても何とか粘って投げることは出来ました」。3巡目で失点したが、大崩れはせず、今後につながる内容だった。

昨秋のドラフト指名後に左尺骨の疲労骨折が判明。リハビリからプロ生活をスタートし、優勝争い大詰めで1軍をつかんだ。3回のプロ初打席では初安打を記録。チーム唯一の安打になった。投手の1安打のみは、球団では56年8月25日中日戦の宮地惟友以来66年ぶり2度目。負の記録ではあるが、宮地は同年、完全試合をなしている。この日の黒星を、未来の大投手の第1歩とする。【古川真弥】