ソフトバンクは23日、明石健志内野手(36)が今季限りで現役引退すると発表した。03年ドラフト4巡目で入団し、ダイエー入団では唯一の現役野手だった。持病の腰痛の影響もあり、19年のプロ生活にピリオドを打つことを決めた。24日ロッテ戦(ペイペイドーム)に引退選手特例で代打出場する予定で、試合後に引退セレモニーが行われる。

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黒のスーツにえんじ色のネクタイ。肌はファーム調整していたせいか、こんがり焼けていた。プロ19年目の36歳。現役引退を発表した明石は会見で、「ファンの皆さまには熱い声援をしていただき、叱咤(しった)激励もしてもらいました。本当にありがとうございました」と頭を下げた。

前身のダイエーに入団した唯一の現役野手で、内野全ポジションに外野もこなす。非凡な打撃センスも兼ね備え、12年7月7日の日本ハム戦では1打席に2度の6球連続ファウルを含む19球を投げさせた。今も最も粘った日本タイ記録だ。

ここ数年悩まされてきた腰が限界だった。19年2月に「脊椎全内視鏡ヘルニア摘出術」を受けた。「手術したことに後悔はしていない」と振り返ったが、長くは持たなかった。「椎間板の中に今年2回注射を打った。初めは効いてるんですけど…。1カ月に1回しか打てないし、これはきつい、厳しいかもなと」。プレーに響き、満足にバットも振れなかった。数年前から、引退の文字が頭をよぎっていた。

通算成績は1007試合で打率2割5分2厘、17本塁打、213打点。印象深い試合を2つ挙げた。1つは10年9月14日のロッテ戦(千葉マリン)。延長11回に悪送球でサヨナラ負けした。「優勝争いをしていた中でサヨナラエラー。でも考えが変わって、自分を見つめ直しました。そこから少しは強くなれたかなと。野球人生を左右する分岐点でした」。

もう1つは19年4月25日のオリックス戦(ヤフオクドーム)。延長10回にプロ初サヨナラ弾となる3ラン。派手なガッツポーズで喜ぶと、側転からのバック宙で鮮やかにホームインした。「小さい頃から珍プレー好プレーを見てて。秋山さん(秋山幸二元監督)がバック宙をやっていたので、プロ野球生活の中で出来たことはとてもうれしく思います」。平成最後の本拠地試合で、幼いころの夢をかなえた。 24日ロッテ戦に引退選手特例で代打出場する予定で、試合後にセレモニーが行われる。「僕が誇れるのは19年間ホークスで野球をして、ホークスで引退できたことです」。すがすがしく、ユニホームを脱ぐ。【只松憲】

▽ソフトバンク藤本監督(明石について)「オールラウンドプレーヤーとして一番必要な選手だったんじゃないかな。寂しいですよ。腰の持病と闘いながらやってきたのは立派だったと思います。なかなか19年間はできない」

◆明石健志(あかし・けんじ)1986年(昭61)1月9日、北海道旭川市生まれ。山梨学院大付(現山梨学院)では甲子園出場なし。03年ドラフト4巡目で前身のダイエーに入団。04年5月2日近鉄戦でプロ初出場。12年に球宴初出場。15年日本シリーズでは優秀選手賞。17年に国内フリーエージェント(FA)権を取得したが、行使せずに残留。通算成績は1007試合に出場し、打率2割5分2厘、17本塁打、213打点。174センチ、66キロ。右投げ左打ち。

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