新サヨナラ男襲名ヤ! ヤクルト丸山和郁外野手(23)が、9回1死二塁のチャンスで左中間を割るサヨナラ適時打を放った。今季ドラフト2位で入団し、4番村上と同じ99年度生まれの「村上世代」。新人の優勝を決めるサヨナラ打は史上初めて。8回のイニング途中に守備についた途中出場から、大仕事をやってのけた。

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試合を決める一打が、優勝を決める一打となった。丸山和は9回1死二塁、サヨナラの好機でDeNAエスコバーの初球を見送った。158キロの剛速球がワンバウンド。2球目、低めの直球を中堅左へ運んだ。新人が優勝を決めるサヨナラ打は史上初。「どこに打球が飛んでいったか分からなかったので、打った感触だけで『ヨッシャー』といってました」。二遊間でヘルメットを空高く投げ飛ばし感情を爆発。ベンチから飛び出した仲間によって、歓喜の輪が出来上がった。

サヨナラの打席が、丸山和にとって第1打席だった。8回2死、牧の打席途中で右翼サンタナが痛みを訴えて交代した。直前の右飛を捕球し、タッチアップを阻止するため、三塁送球した際に痛めた模様。突如、舞い込んだ出場でのチャンスに、大松打撃コーチから「打って男になってこい」と送り出され腹をくくった。

村上世代の1人として、明大を経てドラフト2位で入団した。1月の自主トレ中は、室内練習場で偶然会った村上とグータッチであいさつ。開幕1軍こそ勝ち取ったが、4月から2軍暮らしが続いた。ファームでは内川、坂口らベテランの好打者らに弟子入り。1軍に昇格すると、6月30日広島戦では、村上の「ヘッドをかえさないで、引っかけないで打てば大丈夫」という助言を生かし、延長12回に決勝打を放った。「守備と足」を期待される一方で、打撃でも開眼するため年代を問わず吸収した。

座右の銘は「凡事徹底」。甲子園にも出場した前橋育英時代から胸に刻んでいる。「当たり前のことをしっかりやると、今でもちゃんとやるようにしている」。その心が呼び込んだ、サヨナラ打だった。【栗田成芳】

◆サヨナラ勝ちで優勝決定 ヤクルトがルーキー丸山和のサヨナラ打で優勝。サヨナラ勝ちでリーグ優勝を決めたのは、15年ヤクルト(雄平のサヨナラ打)以来7年ぶり10度目。新人のサヨナラ打で優勝が決まったのは今回が初めて。

◆丸山和郁(まるやま・かずや)1999年(平11)7月18日生まれ、群馬県出身。前橋育英時代は外野手兼投手で甲子園でも登板。3年夏は甲子園で大会タイの8盗塁。明大では4年春秋にベストナイン。174センチ、80キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸1200万円。

○…今年から選手会長を務めるエース小川が連覇を喜んだ。ここまでチームではただ1人、シーズン規定投球回に到達するなど8勝を挙げて大きく貢献。この日も6回無失点で、DeNA今永と締まった投手戦を繰り広げた。「2015年の時も6回無失点だと思うんですけど、最後雄平さんが決めて、それにちょっと丸山がかぶった。打ってくれたらうれしいなと思って、現実になってうれしかったです」とサヨナラ打に15年の優勝を重ねた。

○…主将2年目の山田が連覇を支えた。7月に新型コロナに感染し、8月には成績を落としたが、ここまで村上に次ぐチーム2位の23本塁打を放つなど要所で勝負強さを発揮。優勝が決まると、涙をこらえきれずに号泣。村上の胸に顔をうずめて感情をあらわにした。「ほっとしました。(ハグで)余計、涙出てきましたね。キャプテンとして結果を出してみんなを引っ張っていくのが目標だったんですけど、成績もよくなかったですし。たくさんカバーしてもらって、みんなに感謝したい」と話した。

○…塩見が歓喜のホームを踏んだ。9回、内野安打で出塁した先頭オスナの代走で出場。中村の犠打で二塁へ進むと、丸山和のサヨナラ二塁打で快足を飛ばした。前夜、1回裏の走塁で体勢を崩して2回の守備から途中交代。高津監督は試合後、「(雨で)グラウンドの状況もあまりよくない中でプレーを続けないといけなかったんで、代えました」と話し、この日はベンチスタートだった。最後に出てきて最高の仕事をした塩見は、「2番目においしいところ、いただきました! 1番はルーキーの丸山くんで~す!」と笑顔を見せた。

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