日本ハム清宮幸太郎内野手(23)が、プロ5年目で初のグランドスラムを放った。2点リードの3回2死満塁。右越え18号は、プロ通算39本塁打目で初の満塁弾となった。4回無死二塁では中前適時打、7回2死一、二塁では左前適時打で自己最多1試合4安打&5打点と大暴れ。チームは今季最多14得点の猛攻と完封リレーで、28日ロッテ戦での札幌ドーム最終戦へ弾みを付けた。

     ◇     ◇     ◇

「心の叫び、ですかね」。清宮はヒーローインタビューの最後、絶叫した。

「明日は勝つ!」

新庄監督の阪神での現役時代、お立ち台での決めゼリフを少しだけ意識していた。「新庄さんがずっと言っていたのは知っていました。やっぱり最後、勝ちたいですよ」。声を張り上げて、勝利への純粋な思いを放った。

壁を越え、堂々と「打」の主役を張った。2点リードの2回2死満塁。「まだ打ったことないな」と、グランドスラムが頭をよぎった。初球140キロ直球を振り抜いた瞬間、「あ、初めてだ」と実感した。プロ5年目、通算39本塁打目で初の感触だった。今季1号から11号は全てソロ。クイックモーションへの対応が早く出来るようになり、走者がいる場面でも本塁打が生まれるようになった。

せきを切ったように、清宮のバットは止まらない。4回無死二塁では中前適時打。7回2死一、二塁では左前適時打で、自己最多の1試合4安打&6打点の固め打ち。「悔しい思いのほうが多い」という札幌ドームに快音を響かせた。

鮮明に覚えているのはプロ3年目の20年9月20日、ロッテ戦で敗戦につながるミスをし、ロッカー室で悔し涙を流したときだった。試合後、主力とは別の「Bロッカー」の片隅で、人目に付かないところで肩を落としていた。突如、中田(現巨人)が現れ「オレもそういう経験あるから」と声を掛けてくれた。「すごい印象的な日でした。いろんなことを経験させてくれた場所ですし、一生忘れることのない場所」という。

節目の20本塁打まで、あと2本に迫った。28日の札幌ドーム最終戦は「感謝の気持ちを持って、かみしめてやりたいと思います」。来季につながるアーチで、有終の美を飾る。【田中彩友美】

▽日本ハム新庄監督(今季最多14得点で完封勝ち)「今日は誰を褒めていいか分からないので、会見なし!」

○…鈴木が6回2安打無失点と好投し、先発初勝利を挙げた。6月26日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)でリリーフ登板し初勝利も、札幌ドームでは初白星。同ドームの本拠最終年で初のお立ち台に立ち「それ、いいっすね。(投球は)自分が思い描いているところに投げられた。来年は、先発ローテーション入れるよう、頑張りたい」と新たな目標を口にした。

○…9番中島が2安打2打点と気を吐いた。3回2死二、三塁で中前適時打、7回1死満塁では左前適時打と、チャンスで役目を果たした。1試合2打点は20年6月21日西武戦以来2年ぶり。「(3回は)点がほしい場面だった。先に点を挙げられて良かった。(28日先発の)上沢に『明日も打って』と言われているで、明日も打って勝ちたい」と意気込んだ。

○…吉田が初の1シーズン50試合登板を果たした。父正樹さんがスタンド観戦する中、9回に登板し、8球すべてストレート勝負。3者凡退で締めくくった。前日に新庄監督からの助言があり「ボスに『躍動感がほしい。まじで全力で投げてみて』と言われた。全力で腕を振ってみようと投げたら、その通りの球がいったので良かった」と振り返った。