あぁ、悔しすぎる終戦…。矢野タイガースが終盤に守備のミス連発で逆転負けを喫した。劇的な勝利でCSファーストを勝ち上がったが、神宮に乗り込んだファイナルで3連敗。最後は守乱が負けに直結した。阪神矢野燿大監督(53)は「もちろん、勝てるチャンスがあっただけに悔しいし、野球の難しさと、いろんなことをこの1試合だけでも経験させてもらえたかな」と、穏やかな口調で振り返った。

目を疑うようなシーンが立て続けに起こったのは3点リードで迎えた7回だ。2死満塁から山崎の力ないゴロを一塁手のマルテが二塁へ悪送球。一気に2人が生還して1点差に迫られた。ここからマウンドに上がった2番手浜地が宮本に四球を与えて再び満塁。続く村上の投前ゴロを必死に捕球したが、一塁へのグラブトスが大きくそれて走者3人の生還を許した。

まさかの1イニング1安打5失点という落とし穴。今季レギュラーシーズン86失策で5年連続12球団ワーストとなった課題の守備が、ポストシーズンの重要な局面で出てしまった。今季限りで退任する指揮官もこれには「ぎりぎりのプレーやったと思う。あれをアウトにするチームになっていかないとダメだし、あれでいいとは思えない」と渋い表情。今後の成長を願うしかなかった。

矢野監督は試合終了後、ヤクルト高津監督のもとに歩み寄り、ガッチリと握手を交わした。スタンドから聞こえる矢野コールには何度も手を振って応えた。「もう感謝しかないよね。最後ああやって声援してもらえるのは。この選手たちとやれたこともそう。感謝しかない」。繰り返した感謝の2文字。去りゆく将に涙はなかった。【桝井聡】

○…大山悠輔内野手が4番の意地を見せつけた。1点リードの5回、2死二、三塁。ヤクルト高橋のカーブをとらえ、中前に2点適時打を放った。青柳を援護し、チームに勢いをもたらす貴重な追加点となったが、勝利にはつながらなかった。それでも大山のCSファイナルステージの打率は3試合で打率5割5分6厘。自分の役割を果たした。

○…佐藤輝明内野手が“プロ初犠打”に失敗した。2戦ぶりのスタメン復帰。0-0の2回無死一、二塁で犠打を指令されたが、三塁線へのゴロを高橋に素早く処理され、三塁封殺された。「作戦なんで決めたかったです。(ヤクルトは)打撃も守備も投手もいいし、本当に完敗。来年は僕たちが(日本シリーズに)行けるように頑張ります」。6回には遊撃内野安打でファイナルステージ初安打を記録したが、悔しい22年最終戦となった。

○…エース青柳晃洋投手にとって、悔しさの残るラスト登板となった。6回まで無失点。7回は2死満塁を招き、山崎を内野ゴロに打ち取ったが、一塁手マルテの適時失策で2点を失ったところで降板。2番手浜地の失策で逆転を許し、青柳は7回途中4失点(自責0)で敗戦投手となった。「純粋に悔しいです」。退任する矢野監督については「自分は矢野監督に見いだしてもらった選手。我慢して使ってもらって、僕自身成長できた。矢野野球には感謝しかないですね」と話した。

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