阪神岡田彰布監督(64)が、来季への課題に挙げている二遊間の守備力向上へ、異例の8人全員での特守を行った。甲子園での秋季練習第2クール2日目、全体練習終了後に、50分をかけ併殺時の二塁ベースカバーへの送球などを繰り返した。11月の高知・安芸キャンプでは、現在フェニックスリーグに参加中の小幡らも参戦。二遊間を守る内野手全員で、守備の意識、技術を高め、その中から来年2月に1軍で固定する4人を選出する。

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練習メニューに書かれていない岡田監督発案のスペシャルメニューだった。全体練習後、二遊間を守る内野手8人が2つのグループに分けられた。遊撃に中野、北條、植田、山本。二塁には渡辺諒、木浪、糸原、板山が入りスタート。遊-二-一の併殺、二-遊-一の併殺を、2つのグループやそれぞれの順番を入れ替えながら延々50分行った。

見守った岡田監督は「まだまだや。見とったら分かるやろ。あんなんやってないんやろな。ああいう動きとか」と、ちょっと驚いたように話した。グラブトスも送球も呼吸が合わないのかミスが目立った。全員に両方を守らせた。「まだそんなん決める時期じゃないよ。相手の気持ちも分からなあかんということやからな。相手の投げやすいところに投げるとか。両方やっとかんとな」と、お互いの動きへの理解や思いやりを深めるために、両方をさせた。

ネット裏から見ていて併殺が奪えないシーンが歯がゆかった。確実に併殺が取れる場面で走者を残すと投手へのダメージは大きい。藤本内野守備走塁コーチが投げる緩いゴロを確実に捕って、確実に投げる。反復練習で覚えるしかない。併殺だけでなく深めの守備位置で中堅へ抜けそうなゴロを二塁手がつかんでグラブトスし、受けた遊撃手が一塁へ送球する往年の中日荒木、井端の「アライバプレー」も全員で練習した。

来季は遊撃手、二塁手を固定する考えで、それぞれの控えとの計4人しか1軍ベンチには入れない方針。二塁転向案もある今季の正遊撃手中野を見た岡田監督は「やっぱり器用やな。そら使いたいよ。中野の打撃は二遊間では飛び抜けとるもんな」と高評価だった。現在宮崎のフェニックスリーグに参加中の小幡、高寺、熊谷らも安芸に参戦し、さらに競争の激しさは増す。

岡田監督は「明日(30日)もちょっとやろうかなって思うけどな」と、連日の二遊間特守を予告。5年連続12球団ワースト失策の守備を向上するために、この秋は基礎を徹底的にたたき込む。【石橋隆雄】

▽阪神植田(二遊間特守に参加し) 初めて。こういう時の打球は、ピボットやっている時でも曖昧なことがあったんで、それを確認できた。発見もあって、今までやってないような形の動きもやって、よかった。

▽阪神馬場内野守備走塁コーチ(二遊間特守に)あれだけ時間をかけるのは初めて。それだけ二遊間の息、コミュニケーションが大事だと思う。

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