日本ハムのドラフト3位加藤豪将内野手(28=メッツ3A)が16日、沖縄・国頭で10日間に及んだ秋季キャンプを、感動的なスピーチで締めた。

選手を代表し、入団から約2週間で手締めのあいさつという大役を任された。米国育ちのため「手締め」の意味がわからず、グーグル検索を頼りに2日間、熟考。米球界からの“逆輸入ルーキー”が、約3分間のスピーチでチームの絆をさらに強めた。

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新しい仲間たちに伝えたい言葉があった。秋季キャンプを締めくくる“手締め役”を任された加藤豪。感動的なスピーチで10日間に及んだ厳しい鍛錬の日々を締めた。来日してから、まだ1カ月もたっていない。米国育ちで手締めが、どういうものか知らずグーグルで検索。「前のドアを閉めて、次のドアを開けること」。そう解釈して発した“逆輸入ルーキー”の言葉に、誰もが聞き入った。

加藤豪 自分は(皆から)英語の先生「Teacher」と呼ばれています。来年の2月まで、覚えておいて欲しい言葉があります。それは「Believe」です。Believe in yourself=自分を信じること。Believe you are the best=自分が1番だと信じること。Believe in your teammates=チームメートを信じること。Believe we can be champions=世界一になれると信じること。選手、そしてファンの皆さん1人1人が100%「Believe」することが、世界一になる大きな材料になると思います。次のドアを大きく開けるために、この秋季キャンプを締めたいと思います。

メジャーに昇格できず苦悶(くもん)の日々を送っていた時、フロントが「自分をBelieveしてくれなかった」と考えた。でも、ある時、気付いた。「自分が自分を信じていなかったのだから、フロントが自分を信じるわけがない」。自分を信じて野球に向き合った結果、メジャー挑戦から10年目の今年、ようやく念願がかなった。「Believe」は夢を追うための大切な言葉になった。

初めて参加した日本のキャンプで「野球」に1歩近づいた。スピーチの途中、防災無線が邪魔するアクシデントもあり爆笑を誘ったが「パーフェクトタイミング。漫才的に、すごくいいタイミング」と、おどけるチャーミングさも持ち合わせる。今後は札幌で家を探し、渡米予定。「次のドア」の先には、きっと輝く未来がある。【中島宙恵】

▽球界の名スピーチ

★わが巨人軍は永久に不滅です 74年10月14日、巨人長嶋が後楽園球場での引退セレモニーで。「私は今日ここに引退いたしますが、わが巨人軍は永久に不滅です」とスピーチ。

★自信から確信に変わりました 99年5月16日、高卒新人の西武松坂がオリックス・イチローとのプロ初対戦で3打席連続三振を奪い、試合後のヒーローインタビューで。

★ファンのみなさま、おめでとうございます! 01年10月6日、リーグ優勝を決めたヤクルト若松監督が場内インタビューで。「ありがとう」と言うつもりが「おめでとうございます」と言い間違えて話題に。日本一達成後の「ファンの皆さま本当に日本一、おめでとうございます」は流行語大賞の語録賞を受賞。

★シンジラレナ~イ! 06年9月27日、札幌ドームでレギュラーシーズン1位通過を決めた日本ハムのヒルマン監督が場内インタビューで心境を問われて声高々に絶叫。同年の流行語大賞トップ10入り。

★見せましょう、野球の底力を 11年4月2日、札幌ドームで行われた東日本大震災の復興支援試合で、楽天の嶋選手会長が試合前に3分超えのスピーチで。見守っていた星野監督も「涙が出てきた。本当に…込み上げてきた」と、心を揺さぶられた文言は、同年の流行語大賞候補にノミネートされた。

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