法大の元監督で84年ロサンゼルス五輪の野球(公開競技)監督として日本代表を金メダルに導き、今年5月12日に90歳で亡くなった松永怜一氏をしのぶ会が23日、東京都内のホテルで行われた。法大野球部30人を含め、同校OBを中心に野球関係者ら300人が出席。故人をしのんだ。

祭壇は、故人の遺影を真っ白な花が飾った。松永氏の長男、勝己氏は「今日は、父の死をきっかけにみなさんに再会いただく。ここをリセットの場として、再スタート、という意味を含め白の花で飾らせていただきました」と、祭壇に込めた思いを明かした。

弔辞を述べた、教え子で球界の名手として知られる元広島監督の山本浩二氏は、法大で、松永氏にノックの嵐を浴びせられたエピソードを披露。「当時は練習が嫌で嫌で。その気持ちがプロ野球に入り、そして成績をあげていくうち、そしてプロ野球での練習の中で、あの2年春に鍛えられたことが、原点であの時ほどの苦しさ、プロ野球に入って、あれをやってきたから頑張れるんだという気持ちになりました。今思えば、本当に鍛えていただいたその感謝のひとつでございます」と、遺影に語りかけるように言葉をつないだ。

山本氏と同期で元阪神の田淵幸一氏は、43年、プロ入りの際の言葉を明かした。「『田淵、10年間は辞めるなよ。とにかく10年やれ』。そう激励をされ、阪神入りしました。度々『もっと頑張らないといかんぞ』『絶対に殿堂入りするように、頑張れよ』と激励されたこと。生涯、監督の激励で今日まで頑張ってこられました」。松永氏の支えがあっての活躍に、深く感謝した。

会場には、当時使用していたノックバットやロサンゼルス五輪の金メダルなど、思い出の品、写真などが飾られ、参列者はそれらを囲むように、思い出話に花を咲かせた。