海外フリーエージェント(FA)権を行使し、日本ハムからソフトバンクへの移籍が決まった近藤健介外野手(29)が13日、日本ハム関係者へあいさつのため訪れた千葉・鎌ケ谷で取材に応じ、新庄剛志監督(50)から受け取った“最後の助言”と、移籍決断への思いを明かした。入団から11年。「北海道に育てられた」と感謝した“北の安打製造機”は、さまざまな思いを胸に新天地へ旅立つ。

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ソフトバンクへの移籍発表から一夜明け、朝7時半に慣れ親しんだ鎌ケ谷を訪れた近藤が、軽めの練習を終えて口を開いた。

近藤 悩みましたね。1人じゃないので。家族のこともありますし。何が一番いい形なのか悩みました。ファイターズに恩もありますし、(入団当初からコーチとして指導を受けたオリックスの)中嶋監督と野球をやりたいというのも。入団当初からお世話になっている人なので。いろんな思いがあり、(結論を出すのが)長引いてしまった。

FA宣言から1カ月。心が揺れる中「家族のために野球をやることも必要なのかな、と。苦しかったですね。こんなにもとは(思わなかった)」。家族との未来を想像し、熟慮の上で結論を下した。

日本ハムに移籍を報告したのは、今月上旬。FA移籍の大先輩でもある新庄監督からは「よく、猫背になるバッティングのことを注意されていたので『そこだけは気を付けて』と言っていただきました」と“最後の助言”を授かった。

11年ドラフト4位で指名された時は「体も小さく、獲得意思を示していたのは、うちとロッテくらい」(日本ハム山田アマスカウト顧問)と、そこまで評価の高い選手ではなかった。打撃が大好きな“練習の虫”。努力でつかんだ権利だ。「厳しい競争になると思うので、そういうところで、もう1回、自分を見つめ直して、向き合って勝負していくのも大事だと思う」と、12球団でも屈指の戦力を誇るソフトバンクへ飛び込むことを決断した。

近藤 11年やってきて、本当に温かい声援もいただきましたし、力になった。北海道に育てられたという思いもあるので、これからは結果で恩返しする。育ててもらってことに、今は感謝の思いでいっぱいです。

さらば、“北の安打製造機”。大志を抱いて、新天地へと旅立つ。【中島宙恵】

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一問一答は、以下の通り。

-最後に背中を押したものは

近藤 家族じゃないですか。野球を始めた小学校から自分のために野球をやってきましたけど、これから先は家族のために。子どものためだったり。そのために野球をやることも必要なのかな、と。家族に幸せになってもらわないと、野球をやっていても意味がないと思います。

-日本ハムの同期に報告は

近藤 同一リーグで会うので。でも、寂しい。寂しい思いと、また、対戦相手になったらどういう感覚になるのか。不思議な感覚はあります。

-一番の思い出は

近藤 日本一。言ったらキリがない(ほど多い)。

-もう1度、味わいという気持ちも今回の決断の裏にはあった

近藤 もちろん、それはあります。野球選手をしている以上。いろいろと考えた結果です。

-新庄監督に連絡した

近藤 「短い間だったけど、ありがとう」と言ってもらいましたし、「こちらこそ、本当にありがとうございました」と伝えた。

-気持ちはすっきり

近藤 悩んだので、ぱーっとは、なっていないですけど…。正解だったと思えるように、これから野球をやっていかないといけない。そこは自分の力でいい方向に。(今はまだ)何が正解かは、イマイチ分からない。選んだ道が良かったなと思えるようにしたい。

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