ロッテ松川虎生捕手(19)が日刊スポーツのインタビューに応じた。高卒1年目の今季は3月の開幕戦、4月には佐々木朗の完全試合でそれぞれマスクをかぶり、一方で手痛い負けも多々経験。近未来の正捕手候補としてこの上ない経験を積んだ。その堂々たる風格から“プロ18年目”とも呼ばれた青年は、何を感じていたのか。未来に抱く、ほのかな夢も口にした。【取材・構成=金子真仁】

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地元大阪のビル群を歩く人生19年目松川は、スーツ姿も板についている。

「居てて、本当に落ち着くのはありますね」

高校卒業後すぐに見知らぬ土地で、大人たちと最前線で仕事をした。

「高校は2つ上の先輩までですけど、プロは20個も違う選手もいるわけで。そこで一緒にプレーさせていただいて、考え方の違いとかを感じました」

世代の壁にも直面しながら、17歳年上の美馬学投手(36)ともシーズンを通してバッテリーを組み「美馬さんが4連敗から始まって1勝するまでたくさん時間がかかったのは、僕の責任だと思います」と言いながら、秋には10勝に導いた。

昨秋のドラフト会議で、ロッテが単独1位指名に成功した。本人も「行けて2位か3位かと。1位の自信? ないですよ。ないです、ないです」。手と首を必死に横振りするほど、予感さえなかったという。

ロッテには人間性も評価された。しかし高校生捕手の1位指名は珍しい。推す側にも勇気がいる。関係者によると、決定の場で「松川1位」の流れを作ったのは、井口前監督。周囲には煙幕を張りつつ、会議3週間前には内定していた。

「うれしいというか、本当に感謝しています」

高い期待のままキャンプ、オープン戦と捕手陣の先頭を走り続けた。

「開幕スタメンを目標にしてやってましたし、キャンプからアピールしないといけないなと。テレビで見ていた投手がたくさんいるので、しっかり自分が信頼されるようにと」

NPB史上3人目となる高卒1年目の開幕スタメンマスクに続き、4月10日には「バッテリー合計年齢38歳330日」がギネス記録となった佐々木朗との完全試合。ただ印象に残るのは「自分がマスクをかぶって負けた試合というのは、すごく」としみじみ話す。悔やむのはひと晩限りが流儀だ。

「引きずってもいいことはないので。翌日にはええ顔して球場に行くことは心がけてやってました。前向きに考えないとメンタル面も技術面も下がっていくと思うので」

“ええ顔”で駆け抜けたシーズンには、決断できずの苦笑いもあった。

「準備はしていたんですけど、替えるタイミングがなかったです。勇気もなかったですね」

2月末に新品ミットが手元に届いたが、高校時代のミットをぼろぼろになりながら使い切った。

「タッチプレーで(はじいて)ミス、というのを感じて。(新品が)ちょっと硬いかもと考えると、替えられなかったですね」

あらゆる学びを生かし、必勝の2年目へ。松川自身も「来年は“1年目”という言葉がないので」と危機感を口にする。

19歳とは思えない貫禄、達観ぶりに、気の早すぎるファンから未来の“松川監督”を望む声もある。

「そうっすねえ。まだ分かんないですけど…しっかり活躍して、コーチ、指導者をやってみたいような気持ちはありますね」

頼もしく話し、両手で襟元を整えた。

◆松川虎生(まつかわ・こう)2003年(平15)10月20日、大阪・阪南市生まれ。鳥取東中では貝塚ヤングに所属。市和歌山では3年春にセンバツ出場。高校通算43本塁打。21年ドラフト1位でロッテ入り。1年目の今季は、高卒新人捕手では史上3人目となる開幕戦先発出場。4月10日オリックス戦で最終回までマスクをかぶり、佐々木朗の完全試合をアシストした。球宴では高卒新人捕手で初のファン投票選出。今季76試合出場、185打数32安打、0本塁打、14打点、打率1割7分3厘。178センチ、98キロ。右投げ右打ち。来季推定年俸2400万円。

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