楽天田中将大投手(34)が、3月開催のWBC出場をあらためて熱望した。7日、契約交渉に臨み、昨季の9億円から4億2500万円減の年俸4億7500万円プラス出来高の単年契約でサインした。同一球団でのダウン額としては16年杉内俊哉(巨人)の4億5000万円に次ぐ史上2位となったが、チームの日本一とともにWBCへの強い意欲を表明。侍ジャパンでも楽天でも、チームに貢献したいという熱い思いを口にした。(金額は推定)

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オンライン取材に応じた田中将の意識は、前日6日に代表メンバー12人が先行発表されたWBCにまっすぐ向いていた。自身の名前はそこになかったが「候補には残っているので。やっぱり選ばれたいし、どんな役割でも、やれるところで自分のベスト尽くしたいと思っている」。冷静さに情熱をまじえ、日の丸を思い描いた。

エンゼルス大谷、オリックス山本、ロッテ佐々木朗ら豪華な顔ぶれが並ぶ中、特別な存在がいる。「やっぱり僕の中で一番はダルビッシュさん。ずっと若いときからそういう存在なので。ダルさんの存在というのは一番大きいです」。選出されれば36歳のダルビッシュと同じく、年長組の立場となるが「チームの駒として、どこでもやる気持ちでいる。何とかチームに入って、貢献したい気持ちはあります」。豊富な経験を惜しみなく注ぎ、フォア・ザ・チームに徹する決意だ。

大幅減俸も冷静に受け止めた。2年契約で復帰した初年度の復帰初年は23試合で4勝9敗、防御率3・01。昨季は25試合で9勝12敗、防御率3・31。昨年8月に海外FA権を取得したが、行使せずに残留した。「球団の期待とは大きく届いていないと思いますし、ファンの方々の期待を裏切ってしまっている2年間だったので。ふがいないシーズンだった」と振り返り、「日本一という目標は変わりませんけど。個人的な部分で日米通算200勝というところは大きく超えていかないとチームのタイトルには届かないと思う。そこはシーズン途中、早い段階でクリア出来るのが一番いいかなと思います」と今季の活躍を力強く誓った。

目標とするWBC、さらには残り10勝に迫った日米通算200勝、そしてチームの10年ぶりの日本一へ。自身も大きく変わる決意だ。「投球の向上というところで、いろいろなアプローチをしている。感覚的にはガラッと変える感じです。またこの2年間と同じようにやっても、同じようにしかならないので」。日本復帰3年目。侍ジャパンでも楽天でもチームのために尽くしていく。【鈴木正章】

◆田中将のWBC 楽天3年目の09年、7年目の13年に出場。09年は4試合すべて救援で勝敗なし、防御率3.86。13年は1次ラウンドのブラジル戦で先発するなど計4試合で勝敗なし、防御率2.57だった。なお、WBC以外の主な国際大会では08年北京五輪と21年東京五輪に出場し、東京五輪では準々決勝の米国戦に先発して3回2/3を3失点(勝敗なし)。

◆侍ジャパンの投手枠 日本は前回大会まで投手13人で臨んでいた。今大会は1チームの登録人数が28人から30人に増え、投手は各チーム最低14人の登録が求められている。6日の先行発表では、二刀流の大谷を含め投手は6人が選ばれたため、残りの投手枠は少なくとも8人となる。2人増えた枠をさらに投手にあて15人にするなら残りは9人だ。既に30人全員を発表した韓国は投手15人を登録している。

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