シン「神盗塁」で世界一! 3月のWBC侍ジャパンメンバーに内定している阪神中野拓夢内野手(26)が20日、球団OBの鳥谷敬氏(41=日刊スポーツ評論家)が13年WBCで記録した「伝説の盗塁」の再現に闘志をみなぎらせた。この日は愛知・岡崎市内で自主トレを公開。持ち味の走力を前面に押し出し、世界を舞台に立ち回る。

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澄み切った三河の青空に、まだ高校1年生だった頃の中野の記憶がフワフワとよみがえった。13年3月8日、WBC日本-台湾戦のワンシーンだ。

「やっぱり鳥谷さんの盗塁がすごく印象に残っている。自分もああいった場面で盗塁を決められるような準備をしていきたい」

阪神の大先輩でもある鳥谷敬氏の「神盗塁」から10年後、自身も3月WBCの侍ジャパンメンバーに内定した。代表では代走や二遊間のバックアップなどの役割が予想される立場。今度は自らの足で世界を驚かせにかかる。

10年前、憧れの人は起死回生の盗塁を決めた。負ければ終戦だった台湾戦。1点を追う9回表2死一塁から決めた二盗で同点打を呼び込み、劇的勝利につなげた。

自身は23盗塁を記録した昨季を振り返り「僅差の場面でなかなか走れていなかった」と反省。「もし選ばれたら、チームに勢いをつける意味でもそういうことをしていかないと、国際大会では勝てない。なんとかチームに勢いをつけられる走塁ができれば」。WBCでは積極走塁で勝利を呼び込む覚悟だ。

昨年11月、強化試合でトップチーム代表に初選出された。「ユニホームに袖を通した瞬間に重みを感じた。感じたことのない緊張感を感じることができた」としながらも「細かい技術などを聞くことができなかった」。少なからず後悔も残った。

今回のWBC代表にはエンゼルス大谷ら豪華メンバーがすでに選出されている。「大谷選手に話を聞きたい。タイプは違いますけど、考え方や技術以外の事でも聞けることはたくさんある。そういう機会を作れれば」。野球界の常識を変えた二刀流の考えも吸収するつもりだ。

シーズンでも3割30盗塁を目標に首位打者、盗塁王を狙う23年。モチベーションには事欠かない。自慢のスピードを武器に、タイガースと侍ジャパンで2つの「アレ(=優勝)」を狙う。【波部俊之介】

○…中野は昨秋、岡田監督の方針で遊撃から二塁にコンバートされた。2月の沖縄キャンプでは、臨時コーチを務める鳥谷氏に「(二塁も遊撃手も)内野の根本的な考えは変わらない」と極意を学ぶ予定。二塁の名手、広島菊池の守備も動画などで参考にする。「キャンプが始まった時には完璧に仕上がった状態で、すぐに二遊間の連係ができるように頑張りたい」。2月中旬に代表合流した後は阪神チームメートとの連係強化が不可能となるだけに、同月上旬のうちに侍ジャパン用、タイガース用の準備を同時に整える。

○…三菱自動車岡崎の梶山義彦監督(52)が、教え子の中野を激励した。プロ入り後初という再会を喜び、「もともと芯の強い子。自分をちゃんと分かっていて、人と群れずにやれる子だった」と当時を振り返った。中野はWBCの侍ジャパンメンバーに内定。「WBCからのスタートはものすごく喜ばしい。ケガなくシーズンを通して戦ってくれたら」と背中を押した。

 

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