阪神岡田彰布監督(65)が1日のキャンプインを前に、鬼の本気モードに切り替わった。1月31日、伊丹空港から沖縄入り。左上肢コンディション不良で2軍スタートとなった前川右京外野手(19)を厳しく突き放すなど、オフの期間に見せなかった勝負師の顔になって高いプロ意識を求めた。いよいよ球春到来。12球団最年長監督が一切の甘えや妥協を排除し、18年ぶりの「アレ」に突き進む。

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沖縄入り前の伊丹空港で、岡田監督が厳しい口調になった。右翼レギュラーの有力候補だった前川が1月30日に左上肢を痛め、2軍落ちした話題についてだ。「自分が遅れるだけや。一番決まってないとこやったからな。そこに挑戦できんかったいうことやわな。自分が」。オフの間に聞くことのなかった厳しい言葉で、バッサリと切り捨てた。

昨秋の高知・安芸キャンプで打撃を評価し、高卒2年目で1軍キャンプに抜てき。だが、キャンプイン2日前の先乗り自主トレでの故障に「自己管理やんか。自分1人でやってる中のケガや」といら立ちは隠せない。プロ意識の欠如、準備不足と突き放した。

キャンプイン前日、岡田監督の目の色は変わっていた。いよいよ勝負師と化した厳しい視線だ。2軍から追加招集せず「外野の選手なんかはまず、ライバルが減ったみたいな形になるから、そんな気持ちでええんちゃう?」と競争心をあおった。候補のドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)も右足肉離れで出遅れており、2年ぶり1軍スタートの右の大砲井上や島田、板山らには“追い風”ととらえるべきだとも話した。

一方で、状況をいち早く察して動いた新助っ人には目を細めた。ヨハン・ミエセス外野手(27=レッドソックス3A)が30日、先乗り合同自主トレで右翼を守った。「勝手に右翼守ってるんちゃうか。そこがチャンスと思って。よければ入れる可能性あるから、気合入ってるんちゃうかな」。

レギュラーや投手陣の構想はほぼ固まっている。その岡田プランを崩す選手がキャンプで出てきてほしいかと問われると「そらそうよ!」と代名詞のフレーズで即答した。「当たり前のことや。毎年キャンプで一番思うことはそういうことや。1人でもええよ」。第1次監督時代、無名からリーグ優勝に貢献した藤川のような新星台頭を願った。

沖縄入り後は恩納村のチーム宿舎での全体ミーティングに参加。「自分の力を信じて、大きくなってシーズンを迎えよう」とチームの士気を高めた。18年ぶりの「アレ」を目指し、いざキャンプイン。岡田監督が鬼と化し、ナインを引っ張る。【石橋隆雄】

○…平田ヘッドコーチは沖縄入りに表情を引き締めた。「キャンプインは我々の正月。緊張感があって良い。これを迎えられるのはユニホームを着ている冥利に尽きる」とかみしめた。前日には開幕右翼候補の前川が、左上肢のコンディショニング不良で2軍落ち。昨季は2軍監督として接してきただけに「故障で苦しんでいるところを見ている。今の時期で良かったとプラスに考えるしかない。早く治すということ」と挽回を期待した。

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