アレ? 阪神佐藤輝明内野手(23)が、キャンプ初日のフリー打撃で、まさかの「0発」に終わった。3度目となる沖縄・宜野座での1軍キャンプ。ランチ後、打撃ケージに入るとアーチ連発…、という過去2年の姿はなかった。「いつも通りやりました」と、68スイングで柵越えゼロ。バットの軌道を確認するように丁寧に振り続けた。

打撃ケージの後ろで見守った岡田監督はボールを捉えるポイントを課題に挙げた。「前にするだけよ」。フリー打撃では差し込まれるシーンもたびたびあり、その結果詰まった内野フライに。打撃マシンの球にバットを折るシーンも見られた。佐藤輝は1月にソフトバンク柳田と自主トレを行っていたが「柳田は引きつけて打つ方。俺らが言うてることと逆行する。真逆やなあ」と渋い表情。さらに続けた。「しんどくないように打てばええんよ。あいつ(フリー打撃中に)けっこう休むやろ。差されすぎてるからしんどい。力がいるやんか、はじき返そうとしたら」。心地よく、前で捉えろ-。初日に課題が浮き彫りになった。

ダメ出しばかりではない。岡田監督は「佐藤はちょっと変わったような気はするな」とも言った。秋季キャンプでは「猫パンチ」のような弱いスイングはダメだと指摘していたが「バットの出はよくなってるよな。肩くらいから」。求めていたボクシングのパンチのような軌道に変化したと評価。背番号8も「続けてやっていきたい」と力を込める。

個別練習のフリー打撃では5本の柵越え。新任の今岡打撃コーチとロングティーにも励んだ。初日を終えた佐藤輝は「1カ月頑張ろうかなと。いい時も悪い時もあると思うので考えながら」ときっぱり。「引退するまで考えながらやっていきたい」。飛躍のため、試行錯誤する覚悟。南国で課題を1つずつクリアしていく。【中野椋】