阪神岡田彰布監督(65)の「アレ」への挑戦が始まった。1日に沖縄・宜野座で春季キャンプ初日を迎え、ファンへのあいさつでは、「アレ」を9度も連呼。シートノックにいきなり新助っ人2人も加わり、守り重視の岡田野球を鮮明に打ち出した。前日1月31日の全体ミーティングではナインに「はよ帰れ」指令を出すなど、硬軟織り交ぜながら若虎たちを鍛え上げる。

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岡田監督が虎の指揮官として15年ぶりに宜野座のグラウンドに立った。心の中にあるのは、あの2文字しかない。入場規制の緩和で集まった虎党に高らかに宣言した。「23年は2月1日、宜野座からアレを目指して、シーズンでアレを勝ち取り、秋にはアレの喜びをみなさんと分かち合いたいと思います」。4分弱のあいさつにアレを9回も連呼。スタンドのファンからは「アレばっかりやん」と笑いが起きた。つかみはOK! そして練習が始まると、随所に岡田イズムがちりばめられていた。

就任から打ち出してきた守備力強化の方針を前面に押し出した。初日からシートノックを実施。新外国人のシェルドン・ノイジー外野手(28=アスレチックス)が左翼、ヨハン・ミエセス外野手(27=レッドソックス3A)が右翼に入った。助っ人では異例の初日参加で、中継へ低く返球するという岡田野球の基本を徹底させた。「慌てる必要はないとは言うたんやけど」と助っ人コンビのやる気に目を細めた。

「はよ帰れ」指令も出した。前日1月31日の全体ミーティングで「グラウンドに長くいすぎるな」とナインに求めた。「グラウンドにいる時間で勝負しているのとちゃうからな。もうやるべきことやったら、はよ帰れって言うたんよ。風呂入って次の日に備えろってな」と説明。短期集中で取り組む方針を掲げ、午後6時5分に全員がグラウンドを後にした。まだ空には明るさが残り、昨年より30~40分ほど早い撤収となった。

12球団最年長監督はメリハリのきいた初日を終えた。腰につけた歩数計は「約3500歩」。就任1年目の04年キャンプ初日の「3308歩」とほぼ変わらず。選手をじっくり見つめるスタイルは同じ。「阪神という名前には愛はあるけどな。それは当然OBとしてな。ユニホームを着た限りはな、やっぱり勝たなアカンということやな」。すべてはアレのために。不変の猛虎愛で臨むチーム再建への1カ月が始まった。【石橋隆雄】

○…岡田監督は日刊スポーツの企画で歩数計を装着した。メイン球場とブルペンを1往復しただけで、「約3500歩」。前回の就任1年目である04年のキャンプ初日も同様に歩数計をつけ、「3308歩」だった。当時、午前中が雨。宜野座ドームはまだなく、違う場所にあった室内練習場へ移動した。その後、宜野座に戻ってきたがブルペンには足を運ばず、野手陣のフリー打撃を見つめていた。どっしりと構えて、選手を見つめるスタイルは変わらなかった。

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