「バースデーアーチ」がスコアボードの向こう側へ消えていった。ヤクルト村上宗隆内野手(23)が2日、沖縄・浦添キャンプのフリー打撃で超特大弾を放った。50スイング目。「ANA BALLPARK浦添」のスコアボード上側面に当たり、向こう側へ跳ねる。推定140メートルの場外弾だった。

計68スイングで4連発を含む19本の柵越え。スコアボード直撃が2本に、防球ネット直撃が1本と怪物ぶりを発揮した。打球方向は左翼9本、中堅8本、右翼2本と、村上らしく逆方向の柵越えが多かった。

ただ、本人は意に介していない。飛距離について「僕からしたらどうでもいい」。あくまでもキャンプ2日目の調整。3月9日のWBC初戦を照準に計画的に進める。12日の練習試合、DeNA戦(浦添)では打席だけでなく守備にもつく。15日ロッテ戦(糸満)の出場は未定だが「たぶん出ます」と実戦での調整を希望した。

キャンプ序盤の「振る」「慣れる」から次なる確認事項を問われ「ピッチャーの球を見たり、速い球にどういう感じで打てるかなどを意識したい」と説明。ロッテ戦では佐々木朗の登板が有力で、その時期に160キロ超の速球を見られることはプラスかと問われると「そうですね」と語った。

先月30日の歓迎式典では2年連続の3冠王を目指すと宣言。高津監督も「3冠王を連続で取ってほしいし、もっともっとホームランも打ってほしい」と期待をかけた。自身も「目指さないとおかしい。今年もしっかりタイトルを取れるように練習している」と断言。23歳の誓いは覚悟に満ちていた。【三須一紀】

○…村上に「3億円のマンション」の鍵が手渡された。昨季の日本選手シーズン最多本塁打と3冠王を獲得した記念に不動産会社オープンハウスグループが贈呈。それでも村上はぶれなかった。「3億円のマンションに夢を持つ子どもも」と問われると「3億円に夢を持たれても困ります」ときっぱり。「野球選手への憧れはお金ではない。シンプルに野球が好きで野球選手がかっこよくてホームラン打ちたくてやってきた。そこに夢を持たれるようではまだまだ。結果を残して夢を与えられるように頑張りたい」と熱く語った。

○…右肘痛からの復帰を目指す奥川が2軍キャンプ地の宮崎・西都でブルペン入りした。立った捕手への投球だが、高津監督は「思ったよりしっかり投げられている印象は持ちました。徐々に階段を上がっていってくれたら良い。2月2日で立ち投げだが、半歩前進したと思う」と語った。

○…プロ2年目の山下が開幕ローテ入りを目指す。「ユニホームを着て初日だと緊張しちゃうので」と、キャンプ2日目に初めてブルペン入りし36球を投じた。ドラフト1位で入団した昨季は左前腕の疲労骨折の影響で出遅れ、プロ初勝利を挙げたのは9月30日広島戦。「今年は1年間チームのためになるようローテ入りを目指したい」と意気込んだ。高津監督も「ローテに入って欲しい選手の1人」と期待を込めた。

○…石川が2日連続でブルペン入りした。50球を投げ、初日と合わせ70球。昨年後半から使うワンシームの確認を行い「まだまだ抑えられる球があるのかを研究している。現状維持ではだめ」と語った。高津監督から43歳石川と41歳青木のコンビを「シニアスワローズ」と名付けられたことには「後輩にはまだまだオジサンも頑張ってるぞと引っ張っていけたら」と語った。秋田県からは新ブランド米「サキホコレ」100キロがチームに贈呈され「僕も『サキホコリたい』ですよね」としゃれで締めた。

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