日本ハムのドラフト3位加藤豪将内野手(28=メッツ3A)が9日、沖縄・名護キャンプで実戦デビューを果たした。右手人さし指を骨折中ながら、韓国サムスンとの練習試合の5回に代打で途中出場。2打数無安打と“日本初安打”はお預けとなったが、自分自身に課していた「脈拍数のコントロール」というテーマはクリアして笑顔。試合後は米球界で10年間プレーして培った自身の野球哲学も披露した。

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いつも笑顔がトレードマークの加藤豪が、引き締まった表情で打席へ向かった。代打で登場した初打席は二直。8回の第2打席は空振り三振。2打数無安打だった“日本デビュー戦”の試合後は笑顔に戻って率直な感想を答えた。「すごい緊張しました。でも、緊張は、すごい良いことなので、よかったです」。結果は出なくても、気持ちを高ぶらせることが出来たのが、収穫だった。

米球界で生き抜いてきた10年間で身に付けた、キャンプの過ごし方がある。「キャンプ中はフェーズが3つある。1つ目は脈をコントロールして打席に入る。2つ目がボールとストライクを見極める。3つ目がスイング」。毎春、実戦の中で1つずつ段階を経て開幕へ向かうのが、自分との約束事。この日はフェーズ1。「今日の課題が脈拍数。それをコントロールできて良かった」と振り返った。

普段は脈拍数が低いから、自ら上げて緊張感を高めるという。「緊張することは大事です。緊張しなかったら、あんまり気合が入ってないということ」。打席に向かう前に、自ら言い聞かせる言葉でテンションを高める。「それは英語なので言わなくてもいいです」と伏せたが、140近くの脈拍数になるようにコントロール。「それをできて良かったと思います」と、課題クリアで納得の1日だった。

初安打が出なかったことも気にしていない。なぜなら、「シーズン中もヒットを出すということは考えていない」からだ。

加藤豪 結果は欲しいですけど、欲しい結果がヒットという考えはないです。自分がいいメンタルで(打席に)入って脈も良くて、ストライクを振って、自分のベストのスイングを出せればいい。それを1年に20回できれば20本塁打と考えている。それが結果です。

いかにベストパフォーマンスを、グラウンドで体現できるかを考える。「自分との勝負だけなので」。右手人さし指の骨折で出遅れたが、野球へのアプローチは変わらない。チームも勝利し、「今日は勝てて本当に良かった」と話した加藤豪は、自分自身との戦いにもしっかり勝っていた。【木下大輔】

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