阪神佐藤輝明内野手(23)が日刊スポーツの単独インタビューに応じた。開幕3番の可能性が浮上するドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)には2年前、同じく大物ルーキーとして騒がれた経験から「メリハリが大事!」とアドバイスを送った。グリップを少し下げた新フォームで現在、試行錯誤中。岡田彰布監督(65)からは不動の5番・三塁を期待されているが、昨季以上の数字を残し、初の全試合フルイニング出場するつもりだ。【取材・構成=三宅ひとみ】

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佐藤輝はキャンプ中盤から1軍に合流し、豪快なフルスイングで話題を独占した森下の姿に1年目の自分の姿を見ているようだった。「バットを振れることは、すごいいいことだと思うし、変えずにやってほしいなと思います」。ルーキー時代、フリー打撃でバックスクリーンを越える打球を飛ばしていた。今キャンプでは一緒にフリー打撃を行った森下も広角にスタンドに放り込む。「いいものを持ってるんじゃないかなと。すごく強くバットを振り切れるのは彼のいいところ」とそのパワーを認める。

佐藤輝は森下のことを「翔太」と呼ぶ。翔太のプレーを見て感じることがある。「見ていたら、ちょっと頑張り屋さんで。もう、何か全部全力でやってる姿があって…。それもいいとこなんですけど、自分の体調とかを見ながら全力で全部やってたら、それで耐えられる人って本当に少ないと思うから。うまいこと覚えていく、抜くって言ったらおかしいですけど。まあ自分のペースでやってほしいなってアドバイスしたいですね」。

阪神の地元兵庫県西宮市で育ってきた。虎党の熱狂ぶりは小さいころから肌で知っている。ドラフト1位で入団後、常に高い期待をかけられる。いい意味でマイペースな佐藤輝は、うまく抜き、図太くプロで2年間やってきた。「(森下の)性格はまだ分からないけど、天然かな。天然って言うか素直な感じかな」と思うだけに「メリハリが大事!」と伝えたい。

NPBの左打者で新人から2年連続20本塁打は佐藤輝だけだ。2年目の昨季は初の143試合フル出場した。「全試合出られたっていうのは、うれしい部分でもあります。でも、その中で、全部の試合で結果が伴ったわけじゃなかった」と自分でも物足りなさを感じている。今季は岡田監督が就任直後から三塁でフルイニング出す考えを明かしている。「今年は本当に試合結果が伴って全試合出るっていうところ、やっぱりそこを目標に頑張りたい」。昨季の打率2割6分4厘、20本塁打、84打点は「もちろん、上回りたい」と意気込む。

オフには学生時代から憧れていたソフトバンク柳田や日本ハム清宮らとも自主トレを行った。「一緒に練習したのは初めて。技術的なところだったり、いろんな話を聞きました。打撃の話もたくさんできた。刺激というより、みんな頑張っているなっていうのは感じた。いろいろ試しながらやっているんだなと」。自主トレからキャンプにかけて23年型の打撃フォームを探している。

「今はしっかり試行錯誤しながら。まだ完成はしていないですけどね。試行錯誤していることは間違いない」。具体的に「(少し下げた)グリップの位置とか、ちょっと前傾姿勢で構えたりしながら。足の位置というか、スタンスもちょっと広げたりしています。日によって変えてどれがしっくりくるか試しています」と明かす。

キャンプでの実戦7試合で本塁打こそないが打率2割8分(25打数7安打)、8打点と結果も残した。昨秋は辛口だった岡田監督も「練習の見た目よりゲームの見た目はよくなったな。対応力はだいぶよくなってきた」とほめる。任される5番については「本当に責任持ってやるしかない。そうやって期待してもらうのはすごくありがたいこと。期待に応えられるように頑張るだけですね」。弟のように優しく見守る森下が3番、お手本にする兄のような4番大山と強力なドラフト1位クリーンアップを組んで、18年ぶりの「アレ(=優勝)」へと導く。

◆輝がファンの質問に正直に答えます

Q1 トレーニング中に聴く曲は?

「ヒップホップが好きなんで、ヒップホップをよく流しています。日本ヒップホップも聞くし、USのヒップホップも聞きますけど、最近は日本の方が多いですね。いろいろ手広く、もちろんレックスも聴ききますよ」

Q2 好きな好きなお菓子、スイーツ教えてください。

「好きなお菓子?(笑い)。なんやろ、でも沖縄キャンプ期間中はやっぱりブルーシール! ド定番の塩ちんすこう味が好きです」

Q3 プロ野球選手にならなかったら、どんな職業つきたかったですか

「なんやろ……。ボールボーイ! メジャーのボールボーイになりたい。でもどこのチームでもやります」

Q4 行ってみたい旅行先は

「旅行できるってなると、12月なので冬の北海道に行ってみたいな。スキーはもうしんどいから、普通においしいご飯とかを食べに行きたい。あと、温泉があるとこ行きたいですね。北海道じゃないけど、草津温泉、下呂温泉」

Q5 昨年限りで引退した糸井さんとの思い出

「思い出 なんやろ。ご飯によく連れてってもらったけど…一緒に筋トレもいやしてみたいなっていうのはあるけど、したことないし。でも、一緒にプレーできたことが本当に一番最高の思い出だと思います」

Q6 近大に恩返しするなら

「なんか何かを寄付するみたいな。佐藤輝明ボブルヘッド人形(笑い)。首がくるくるなるやつ、あれがいいかな。いや、でもテルたこ焼き屋さん開きます!」

Q7 今年の登場曲は

佐藤輝 「いつも聞かれるけれど、今年も秘密で(笑い)。毎年言っていないので、トップシークレットでお願いします!」

◆阪神三塁手の全イニング出場 直近は新井貴浩が10年に記録した144試合。生え抜きに限ると、85年の掛布雅之130試合が最後。なお阪神の三塁手以外の全イニング出場直近は、15年鳥谷敬の遊撃での143試合

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