巨人菅野智之投手(33)が復活星を挙げた。
右肘の張りで出遅れた今季1軍初登板で、宿敵ソフトバンクに5回4安打2失点にまとめた。敵地ペイペイドームでの白星は、新人時代の13年6月15日以来、10年ぶり。1点リードで退いた6回以降は、投打でワンチームとなって守り抜き、菅野に今季初勝利をもたらした。開幕投手であれば投げるはずだった3月31日から73日目での1勝目となった。チームにとっても5年ぶりのソフトバンク戦勝ち越し、貯金1で交流戦首位タイをキープした。
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菅野の声はかれていた。5回4安打2失点。6回から無失点リレーで白星を守り切った後輩6人へ叫び続けた。最前線でハイタッチで出迎えた。「何とか頼むという気持ちで見てました。これまでもたくさん勝たせてもらいましたけど、忘れることのできない1勝になったと思います」とかみしめた。
4月。菅野はシーズン開幕後もジャイアンツ球場にいた。「今、どういう風に自分が投げているか分からない」。久保投手コーチに打ち明けたのは頭と体の断層だった。頭で描くイメージと、動きに溝ができていた。3月に訴えた右肘の張りは治っても、出力が戻らない苦悩。「足を上げて、体重移動して、腕を振ったら、そこに行く。そういう感覚でずっと野球をやってきたんです」。思い出そうにもシンプルに、そして感覚的に投げていたからこそ、思い出せない。意外な事実に、驚きの表情を見せる久保コーチにありのままをさらけ出した。
久保コーチと始めた作業は、かつての自分を取り戻すことだった。「昔はこうやって投げていたんだよ」。見せられたタブレットに映る自分。3度の最多勝、2度の沢村賞を獲得したかつての姿に「新しいというより、少しでも昔の形に近づこう」と曲がっていた右足を修正。ジャイアンツ球場右翼ポール際にある高低差5メートル以上の坂道では、上からも下からもキャッチボールし、左足に体重を乗せる感覚を培った。その坂道をじっくり1歩ずつ上りながら、前に力を伝える動きを体に染み込ませた。地道な1歩がようやく実を結んだ。
チームの今季59試合目でつかんだ1勝目。「順風満帆でいける野球人生はないと思う。5回を投げて満足しているようではいけない。毎試合7回、8回と投げてチームに貢献したい。ボロボロになるまでしっかり腕を振ります」。ペナントレースは残り84試合ある。もがき続けた背番号18が、ここから挽回する。【小早川宗一郎】
▽巨人原監督(今季初勝利の菅野に)「勝ちがついたというところが良かったんじゃないでしょうかね、本人がね。まだできるでしょう」



