テルを外して右京が打った!
阪神は「日本生命セ・パ交流戦」の敵地日本ハム戦に1-0で勝利し、今季初の4連敗を阻止した。高卒2年目の阪神前川右京外野手(20)がプロ初の5番でスタメン出場。2回にプロ初三塁打を放ち、6番渡辺諒の決勝打を演出した。不調の佐藤輝をオーダーから外し、若武者を抜てきした岡田彰布監督(65)の采配がズバリ的中。2度の移動を挟んだ9連戦を4勝4敗1分けで終え、交流戦最下位から脱出した。
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エスコンフィールドの虎党が白球の行方を見守った。前川の放物線が、右翼ポール際のフェンスに直撃する。二塁ベースを蹴ると、歓声は大きくなった。2回1死、第1打席でプロ初三塁打。渡辺諒の適時打で生還し、ベンチで先輩たちとパータッチだ。
「クリーンアップは長打がいるのかなと。その中で長打が出たのは良かった」
プロ初の5番。それも佐藤輝に代わっての起用だった。すでに3番を経験済みとはいえ、力が入ってもおかしくない状況で、いきなり快音を響かせて5試合連続安打。初安打を放って以降は18打数7安打、打率3割8分9厘と打ちまくる。
右翼万波が打球処理にもたつくシーンもあり、岡田監督は「ラッキーな三塁打」と表現したが、結果を残したのも事実。「状態が悪いからやん」と6月打率1割台の佐藤輝を外し、4番大山の後ろに若武者を据えた決断がズバリとハマった形だ。それでも20歳は満塁機で左飛に倒れた3回を「あそこを自分で仕掛けていけるように」と反省。貪欲な姿勢が末恐ろしい。
左投げ左打ち。左利きであることに困ったこともある。「習字とかですね…」。奈良・智弁学園時代は2週間に1度あった習字の授業に苦戦した。左手では筆をうまく扱えない。ドラフトで阪神に指名された直後、「好きな文字を書く」というお題では、懸命に左手で「虎」と書いた。
猛虎魂を秘める男は右利きの「作られた左打ち」ではない。「左手の押し込みは強いと言われるんです」。生まれながらの左利きだからリストは強い。私生活では「メリットを感じない」と苦笑いするが、野球では武器だ。この日の三塁打も、北山の内角151キロに肘をたたみ体を回転させ、最後は左手で押し込んだ。
若虎が演出した虎の子の1点を守り抜き、チームは連敗を3で止めた。関西→仙台、仙台→北海道と移動した9連戦を4勝4敗1分けの5分で終え、指揮官は「まあいい形でというかな、4勝4敗で御の字ちゃうん」。耐えた分、13日からの交流戦ラストウイークで爆発する。【中野椋】



