新天地で打撃覚醒中の日本ハム郡司裕也捕手(25)が苦節4年目でプロ初本塁打を放った。通算153打席目、移籍後13打席目となった2回の第1打席にソフトバンク和田から左翼へ1号ソロを放った。6月19日に中日からトレード移籍したばかりの新戦力は、4試合連続スタメンで打率5割をキープ。新庄監督の勘ピューターでもはじき出せない躍動ぶりで、ホームラン祭りとなったチームの大勝に貢献した。

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積み重ねてきたいろんな思いが、打球にひと伸びを与えてくれた。2回先頭。郡司はソフトバンク和田のチェンジアップを捉えた。「芯には当たりましたけど、入ったとは思っていなくて、弾道も低かったので思いっきり全力で走っていました」。ライナー性の打球は左翼ホームランテラスのフェンスを超えた。本来の左翼フェンス上部に直撃し、跳ね返った打球はグラウンドに戻ってきたが、三塁塁審は勢いよく腕を回して本塁打判定だ。

郡司 もうちょっと自分の中では早く打ちたかったんですけど、ちょっと時間がかかってしまいました。ここから積み重ねていきたいと思います。

3回には2死満塁で押し出し四球を選び、2日オリックス戦に続いて2打点。シーズン4打点はルーキーイヤーの20年に並ぶキャリアハイで、中日から日本ハムに移籍して、わずか16日間で積み上げた。打率も5割と勢いが止まらない理由は、大きく2つある。

1つは「新天地で、やってやるぞという思い」を体現できていることだ。トレードが決まった翌日の6月20日に古巣へあいさつに訪れた際に「(現役ドラフトでDeNAから中日へ移籍した)細川を見ていると、環境が変われば激変するパターンもある。そんな自分に期待しながらやりたい」と前を向いた。こんな躍動ぶりをしっかりイメージできていたからこそ“激変パターン”に突入できた。

もう1つは地道に培った実力があったから。「技術的には何も変えていない。ドラゴンズ時代の経験と指導がちょっと遅くなりましたけど、生きてきたのかなと思います」。中日時代は打席で考えすぎていたことも移籍を機に反省して修正。苦しんだ経験を生かして打ちまくる今がある。

4試合連続でスタメン起用する新庄監督も「いや~本当にどんだけ打つんやろ」と驚く覚醒ぶり。紆余(うよ)曲折を経て中日郡司から激変した日本ハム郡司の本領発揮はここからだ。【木下大輔】

■約2カ月ぶり1軍復帰の五十幡、初球右前打

左太もも裏の肉離れで戦線離脱していた五十幡が、約2カ月ぶりに1軍に復帰した。調整のための実戦が少ないことからベンチスタートも、5回から中堅守備で途中出場。7回の第1打席では初球を右前打し出塁した。俊足すぎる故に体への負荷も高い。新庄監督から「次やったら、もう上げないから」とハッパをかけられた五十幡は「しっかり自分の出力をコントロールしていきたい」と話した。

■きょう先発鈴木4連勝狙う

5日先発の鈴木が自身4連勝を狙う。現在、上沢と並びチーム最多6勝をマーク。交流戦明けの休養もあって、10日ぶりの登板となる。「ちょっと違和感はある」と言うものの「元気に過ごしています」と、疲労回復はバッチリだ。相手のソフトバンクは、苦手としている左打者がズラリと並ぶが「気にせずにやりたい。(左対策は)内緒です」と、ニヤリと笑った。