「マイナビオールスターゲーム2023」の第1戦が19日、バンテリンドームで開催された。

ファン投票と選手間投票で全パの外野手部門に選出された日本ハム松本剛外野手(29)は、プロ12年目で念願の初出場。「3番センター」でスタメン出場し、初打席で先制適時打を放った。「一区切り」というオールスターへの思いや、後半戦への意気込みを聞いた。【取材・構成=中島宙恵】

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昨年、初めてファン投票でオールスターに選出されながら、直前に左膝を骨折し、無念の出場辞退。パ首位打者のタイトルホルダーとなって臨んだ今年、再びファン投票で選ばれ、念願の夢舞台に立った。

松本剛 去年は自分でも胸を張れる数字を残せていて、自信を持ってオールスターに出られるという気持ちがあった。でも、今年は全力で走れていないとか、満足のいくパフォーマンスを見せられていない時期もあったので。もどかしかったし、それでも試合に出ていて、申し訳なさもあった。いい成績を残せているとは言えないのに、ファン投票で選ばれたのはうれしかったし、感謝して自信につなげたい。

1年前は、悔しくて、まともに見られなかったオールスター。歩くことさえままならず、自宅で何げなくつけたテレビを、ぼんやりと眺めていた。

松本剛 「うわ、ここ出たかったな」っていう気持ちが、こみ上げてきて…。テレビはついているけど、自分のことを考えていた。「出られたのにな」「来年こそは必ず出たい」とか。

埼玉県川口市出身で、幼いころから「祭り」には格別な思いがある。

松本剛 お祭り大好き。祭りと言ったら屋台でしょ。「たたら祭り」っていうのが夏に川口オートレース場であるんですけど、それには絶対に行ってました。必ず買っていたのはチョコバナナ! とにかく屋台のために、お小遣いをためていましたもん、僕。

しかし、球界の「祭り」は遠い存在だった。ドラフト2位で帝京から日本ハムに入団して12年目。高卒同期の上沢やソフトバンク近藤と一緒に初めて「祭典」の舞台に立てたことを今、誇りに思う。

松本剛 3人同時に出ると聞いても、ピンと来なかった。慎吾(ロッテ石川)も含めて同期4人の中で、僕が一番後れを取っていたので。スタートから出遅れて、ドラフト2位に見合う成績をずっと残せなかった。だから(同時出場は)誇りに思う。「苦労人」って書いておいて下さい(笑い)しかも、今年は帝京OBが4人出場! 自分で言うのもなんですけど、僕がオールスターに出るなんて、正直思ってなかったです。

ようやく、一流の世界に足を踏み入れたばかり。「昨年、良い成績を残したおかげで、今まで話せなかった人と、話を出来るようになった」と、肌で感じる場面もぐっと増えた。

松本剛 交流戦でも青木さん(ヤクルト)が「どうやって打ってるの」と聞いてきてくれたり、坂本さん(巨人)が声をかけてくれたり…。憧れだった選手が、声をかけてくれるのは、やっぱりうれしい。そういう選手に少しでも近づきたくて、追い越したくて、やってきたから。

チームは10連敗中で最下位に転落と元気がない。22日から再開するリーグ戦で、先頭に立って若いチームを引っ張る覚悟は出来ている。

松本剛 僕も開幕から状態が良くなく、我慢が続きました。オールスターはいい区切り。6月後半から、ようやく首位打者を取った昨年の映像を見返すようになりました。昨年より良い成績を残す自信があったから、それまでは封印していたんです。良い感覚を取り戻しつつあるので、後半戦で一気に爆発したい。自分自身に期待しています。