由伸打ちで弾みついたで! 阪神佐藤輝明内野手(24)が「マイナビオールスターゲーム2023」で球宴初のマルチ安打を記録した。

「6番三塁」で先発し、2回に同学年のオリックス山本から左中間フェンス直撃の二塁打。5回にもオリックス山崎福から右前打を決めてニヤリだ。3年連続のお祭り舞台で、虎戦士8人出場の第1戦から早速の快音連発。こりゃあ、後半戦が楽しみや!

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笑顔で両手をたたいた。球宴仕様の水色のアームガードを装着した右腕が映える。3年連続3度目の夢舞台。2回1死、佐藤輝が全パ2番手のオリックス山本から快音を響かせ、二塁ベース上で破顔した。

「いやもう、いい球を打てたんで、良かったです。思い切って振りました」

同学年の右腕とは、球宴に限れば昨年の第2戦以来の対決。球宴は過去2度の対戦でいずれも空振り三振に終わっていたが、この日の第1打席でリベンジを果たした。カウント1-1から外角152キロを捉えると、打球は左中間フェンス直撃。21年第2戦の第1打席以来、球宴2年ぶりの「Hランプ」をともした。

さらに5回は先頭でオリックス山崎福の内角高め速球をしばいて右前打。2打席連続安打で球宴初のマルチ安打を記録した。本人は「ヒット2本打てたんで、大満足です」と充実感たっぷり。岡田監督は「オールスターやからな。配球とか何もなしでくるわけやから」と「打って当然」を強調したが、一振りで仕留めた事実は大きな収穫だ。

先輩のお手本も目に焼き付けた。ソフトバンク柳田が本塁打を含む3打数2安打2打点でMVPを獲得。オフに自主トレに参加した師匠の打撃が何よりの刺激になった。「いや~えぐいっすね。さすがっすね」と脱帽。自身も20日の2戦目に向け「明日は何打席あるか分からないけど頑張ります」。少ないチャンスをモノにし、21年の第2戦以来となる球宴アーチを狙う。

プロ3年目の前半戦は苦しみ抜いた。3年連続で2桁に到達したとはいえ、10本塁打、42打点は前半戦終了時点では3年目でワースト。6月下旬に出場選手登録を抹消され、ファン投票での球宴出場が確定したのも2軍調整期間中だった。

何も悩まなくていい。ただただ、野球を楽しめばいい。そんな球宴が、復調へのきっかけになる可能性は決して低くない。試合前には中日細川、DeNA牧ら同じリーグのパワーヒッターと談笑し「いろいろしゃべったんで良かったです」とニッコリ。佐藤輝が、お祭り舞台で吹っ切れた。【中野椋】