巨人ドラフト1位・浅野翔吾外野手(18)が右手をしびれせながら、プロ初スタメン初安打をマークした。5回の第2打席に、左前へ詰まらせながら打球を運んだ。7月に代打でのデビュー戦から3打席連続空振り三振で迎えた2度目の1軍昇格。「8番右翼」で即スタメン起用され、記念すべき1打を放った。チームは9回逆転負けで今季4度目の4連敗を喫し借金2、4位DeNAと3ゲーム差に広がった。
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右手のしびれが、むしろ心地よかった。5回1死一塁、浅野がDeNA東の内角直球を振り切った。詰まってバットを折りながらも右手で押し込み「早く落ちてくれ」と願った打球は、左前に落ちた。「高校時代から詰まっても右手で押し込む打撃には自信があった」と、らしさ全開のプロ初安打だった。
かつて右手のしびれは、敗者の証だった。中学1年の夏。給食の時間が終わり、昼休みのチャイムがなると、浅野は廊下に向かった。「先生、勝負しよう」。別クラスの担任でガリマッチョな体育教師・山下玄太先生に腕相撲を挑んだ。舞台は廊下にあった机の上。力を入れたが、大学までやり投げをやっていた10歳上の新米先生に一瞬でねじ伏せられた。その日から対決は名物となり“ゴング”の前には観客の輪ができた。でも連戦連敗。長袖を着る頃、接戦を演じるようになると、セミが鳴く2年夏、雄たけびが響いた。「ついに勝ったぞ」。右で圧倒できるようになると、次は左利きの山下先生に左でも勝てるようになった。勝者の手に、しびれはなかった。
プロ初昇格した7月、3打席3三振で「全く通用しなくて悔しかった」と3試合で2軍降格。真夏のジャイアンツ球場で汗を流した。坂本、松田に聞いたのは、スイング軌道や素振りの助言。イースタン・リーグでは直近10試合で打率3割9分5厘と、結果で勝ち取った1軍再昇格だった。
1年前の8月11日、浅野は甲子園にいた。2本塁打で聖地を沸かせ、1年後、真夏の東京ドームで歓声を浴びた。「まさか1年後に自分が(1軍の)試合に出てるとは思ってもいなかった。高校ではナンバーワンと言われても、プロに入れば下の方。プロの中でナンバーワンと言われる打者になれるように頑張っていきたい」。しびれた手に、グッと力を込めた。【小早川宗一郎】
◆浅野の8月11日 昨年夏は高松商の主将として甲子園に出場し、8月11日に佐久長聖との初戦(2回戦)で2打席連続本塁打を放った。1番センターで出場し、4打数3安打4打点。14-4の快勝に貢献した。大会3試合を通じ10打数7安打、3本塁打、6打点と暴れた。



