阪神近本光司外野手(28)が、優勝へのマジック「29」を点灯させるV打を決めた。木浪の適時打で同点となった直後の2回2死一、三塁。フルカウントから広島九里の外角127キロの縦変化を前でさばいた。右前適時打で勝ち越すと、右翼野間の失策の間に一塁走者も生還(打点は1)。自らも二塁に到達した。
「ランナーをかえすバッティングができてよかった。みんながつくった良い流れに乗ることができた」
初回には右前打を放ち、リーグトップ21個目の盗塁となる二盗も決めた。9回には左前打で今季8度目の猛打賞。プロ5年間で通算742安打。新人から5年目までの安打で「739」の赤星憲広、「740」の後藤次男を抜いて球団歴代トップだ。令和の安打製造機が意外な記録で猛虎史に名前を刻んだ。
得点圏打率は3割後半で、このままいけばキャリアハイ。46打点は21年にマークした自己最多50打点に迫る。プロ入り後、4年間連続で3番を経験してきた男は、今季1度もクリーンアップに座っていない。それでも、打点を稼ぐ。
「自分が打って、チームが勝ったらそりゃうれしいし、気持ちいいものやろ」
1番でも、その欲がある。8番木浪を中心に下位打線で流れをつくり、1番近本、2番中野でかえす。23年岡田阪神の「黄金得点パターン」で、節目の一戦も2回に一挙4点を挙げた。
ゲーム差なしの2位に終わった21年は、シーズン終盤に右ハムストリングの張りで万全ではなかった。昨季はCSファイナルステージでヤクルトに敗れ、神宮の取材エリアで涙した。だからマジック点灯にも「なんとか、なんとかっていう気持ちです。別に気にしてない。ただなんとかするだけ」と強調。「しんどい試合が続いているんで、しっかり水分とってミネラルとって頑張ります」。強い虎を勝負強い近本が引っ張り続ける。【中野椋】



