今季125試合目にして西武の優勝の可能性が消滅した。

この日のソフトバンク戦の6回裏が終了したとほぼ同じタイミングで、首位オリックスが日本ハムに勝利。その時点で、この日を含めた残り19試合に全勝してもオリックスに勝率で追いつけなくなっていた。その約2時間後、延長11回の末に西武は敗れた。

松井稼頭央監督(47)は就任1年目の今季、「走魂」をチームスローガンに掲げ、投手力や機動力を中心としたスピーディーな野球を目指した。実際、先発投手陣が達成したQS(クオリティースタート、6投球回以上で自責点3以内)数はリーグ1位、12球団2位の75試合とディフェンス面では成果を出した。

一方、得点力不足が通年の課題になった。先発がQSを達成できない試合は、10勝40敗1分けと大きく負け越す。10勝のうち5勝は、先発投手が試合中盤に代打を出されやすい交流戦でのもの。序盤に失点し、最後まで追いつけない-。この日は初回の4失点を打線が中盤までに追いついたが、最後はソフトバンクに再びリードを取られた。

特に野手の戦力が整わなかった。不動の遊撃手でもあるキャプテン源田が、3月のWBCで負傷し、開幕後は球団方針でリハビリ最優先に。1軍合流が5月下旬になった。

主砲の山川は自身の不祥事もあって、17試合で0本塁打5打点というシーズンに。外崎も含めた確固たるレギュラーのうち2人を欠く期間が長く、それ以外にも特例2023や故障の影響で、一定期間戦列を離れる主力選手も目立った。年間を通して、戦力に苦しんだ1年だった。

特に6月中旬の7連敗、同下旬からの8連敗は大きく響き、借金は最大18にまで膨れあがった。10日までに5連勝し、再び借金を圧縮している。

他球団の星取にもよるものの、CS出場の可能性はまだ残される。仮に勝率5割で143試合をフィニッシュするためには、残り18試合を15勝3敗で乗り切る必要がある。

難しいミッションにはなるが、松井監督は「もちろん試合もまだあるし、CSもあるわけですから、最後の最後までやりたいと思います」と闘志を燃やす。昨秋の監督就任時に複数年契約がベースになっており、来季続投は決定的。「もちろんそこ(優勝)を目指してやってきました」という今季の悔しさを晴らすべく、残り18試合でさらにチームの力をつける。【金子真仁】