阪神村上頌樹投手(25)が今季未勝利のDeNAを相手に6回5安打無失点、無四球の快投を演じた。

これでリーグトップの防御率は1・68まで上昇。セ界制覇ならずも、最優秀防御率のタイトルはほぼ「当確」だ。岡田彰布監督(65)もタイトル獲得のアシストを明言した。シーズン防御率2点未満を記録すれば、阪神の生え抜きでは70年村山実以来。レジェンド級の大活躍シーズンになる。

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村上が甲子園のマウンド上で仁王立ちした。リーグ優勝後初登板でも「いつも通り結構緊張しながら、変わらずいい感覚で上がれました」と精密機械のように坂本のミット目がけてボールを投じ、5回まで二塁を踏ませず。6回は2死三塁でチームの対戦打率3割超え、7本塁打を食らっている4番牧を迎えたが、追い込んでから外角スローカーブで遊ゴロに料理。右拳でガッツポーズを決めた。

「あそこでカーブで打ち取れたのはこれからも自信になりますし、引き出しが増えたなと思います」

6回を投げ散発5安打の無失点投球で、防御率を1・68まで良化させた。規定投球回を満たして防御率2点未満なら、球団生え抜きでは70年村山実の0・98以来53年ぶりの快挙となる。1点台フィニッシュについては「そこまでは意識してないですけど、取れる時に取りたいなと。チャンスはなかなかないと思うので」と、手中に収めつつある最優秀防御率賞のタイトル奪取に目をギラつかせた。

師匠からの「約束の贈り物」が、さらなる活躍の原動力となった。村上は8日の広島戦(甲子園)で勝利投手となり、目標の2桁勝利を達成。オフの合同自主トレで多くの金言を授かった青柳に、シーズン序盤に「2桁勝ったら何か買ってください」とおねだり。約束通り「いいバッグをいただきました」と高級バックをプレゼントされた。5月ごろから「絶対2桁勝てる」と予想していた青柳は「もともとすごい。このままタイトルも取ってくれたら一番いい」と期待。栄冠を手にすれば、さらなるご褒美もあるかもしれない。

岡田監督はシーズン終盤での防御率1点台については「いやいや、そらすごいやろ」と目を細めた。規定投球回まで残り3回2/3の右腕の次戦について「もう今度は4回くらいでええやろ。そんな投げさす必要ないやろ。2桁(勝利)いったから」とニヤリ。「そっち優先や」と10月中旬のクライマックスシリーズ(CS)での登板も見据えて休息を与えながら、タイトル獲得をアシストする。大本命の新人王との「ダブルタイトル」獲得。さらに虎のレジェンドに迫る数字を残す可能性が出て来た。【古財稜明】

▼村上が6回無失点の好投で、今季の防御率を1・68とした。阪神でセ・リーグの規定投球回を満たし、防御率2点未満なら、75年安仁屋宗八(前広島)1・91以来、48年ぶり。生え抜き投手に限ると、2リーグ分立後のプロ野球記録である70年村山実0・98以来53年ぶりだ。村上の今季投球回は139イニング1/3で、シーズン規定投球回数143まであと3イニング2/3まで近づいている。

▼セ防御率部門で村上は、2位東(DeNA)2・17に大差をつけ首位を快走。前年まで未勝利だった投手がこのタイトルを取れば、71年藤本和宏(広島)1・71、79年山口哲治(近鉄)2・49、00年戎信行(オリックス)3・27以来、プロ野球4人目の快挙だ。

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