“下剋上球児だ”。広島新井貴浩監督(46)が「2023 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルステージでも超攻撃的采配を貫く。DeNAとのファーストステージでは、早めの継投と積極的な代打策で突破に導いた。最長6試合となる18日からのファイナルステージでも、一戦必勝の戦術でセ王者に挑んでいく。

2日前、大歓声に包まれたマツダスタジアムは、晩秋とは思えぬ強い日差しが降り注いだ。18年以来のシリーズ出場権をかけた決戦に向け、広島ナインが前日練習。温かい表情で見守り続ける新井監督を中心に、選手たちはほどよい緊張感に包まれながら、リラックスした表情で汗を流した。

新井監督 タイガースは本当に強いチームだと思う。でも、楽しみなんです。本当にワクワクしています。

1年を通してほぼスタメンを固定した阪神に対し、広島は117通りのオーダーを組んだ。対戦成績で9勝15敗1分けと負け越し、11・5ゲーム差を付けられた。監督通算666勝の敵将に対し、新井監督はまだ1年目。「岡田監督は経験豊富な百戦錬磨の監督だと思うので、胸を借りるつもりでぶつかっていきたい」。失うものは何もない。ファーストステージを突破した15日、新井監督は地元ファンに「カープの全員野球で、高校球児のように戦って来たい」と約束。4年連続Bクラスから一気にシリーズ進出へ、“下剋上球児”を演じきるつもりだ。

ファイナルステージ初戦先発も、今季広島に3戦2勝1敗で最優秀防御率の阪神村上に対し、広島は今季阪神に5戦0勝2敗と苦戦した九里だ。打線も村上に、21回1/3で6得点にとどまる。打線は2戦目以降に先発する伊藤将、大竹もレギュラーシーズンでは苦手とした。ファーストステージ同様、先発タイプの投手をブルペンに待機させ、初戦から早め継投で接戦に持ち込みたいところ。「普通にやっていては厳しい戦いになると思う。展開によっては、リスク上等でめちゃくちゃにやらないといけない場面が出てくる」。下克上へ。聖地でも一戦必勝のがむしゃら野球を貫く。【前原淳】

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