ドラ1候補が実力を証明して見せた。最速158キロ左腕、東洋大の細野晴希投手(4年=東亜学園)は中大戦で9回2安打9奪三振2失点と快投しチームも先勝。亜大は草加勝投手(4年=創志学園)が国学院大戦で9回1失点で延長タイブレークを制した。青学大は下村海翔投手(4年=九州国際大付)が優勝に王手をかけた日大に対し、7回無失点で大勝に導き、逆王手をかけた。18日の第3試合、戦国東都1部の王座をかけて対戦する。

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4回2死三塁で初めて三塁に走者を置いた細野は、この日最速の153キロ直球を投げ込んだ。最後はフォークで三ゴロに打ち取り、ピンチを脱した。7回に味方失策からヒット1本で2失点したが、ドラフト会議前最後のカード初戦で、緩急を駆使して9回2失点。「粘って投げられたので良かった」と振り返った。

NPB12球団、30人以上のスカウトがバックネット裏にずらりと並んだ。ヤクルト橿渕スカウトグループデスクは「力みがなくて、ツーシームとスライダー、カーブのコントロールがすごくよくて新しい表情を見せてくれた」と評価した。

試合は延長タイブレークまでもつれ、サヨナラ勝ちが決まると、細野はベンチから飛び出し歓喜。喜びを爆発させた。

絶対に倒したい因縁の相手だった。22年春。東洋大は2部1位となり、昇格をかけて入れ替え戦で1部6位の中大と対戦した。1勝1敗で迎えた最終戦。細野は先発を託され、7回無失点と好投したがチームはサヨナラ負けした。「負けたままじゃ終われなかったので絶対に勝つ気持ちだった」。強い思いを球に込めた。試合後は「素直にうれしい」と笑顔を見せた。

ドラフト会議まであと8日。入れ替え戦の可能性も残る。「(ドラフトを)100%気にしないのはちょっと無理だったんですけど、なるべく試合に集中」とまずは目の前の1勝のために戦う。【星夏穂】