ああ惜しい…。阪神が甲子園で日本一に輝く悲願は、今年も限りなく厳しくなった。超満員の甲子園で迎えた第3戦は、オリックスに連敗して1勝2敗。頂点まであと3勝が必要な阪神にとって本拠地胴上げの可能性がほぼ消滅した。岡田彰布監督(65)は「全然、切り替えられるよ」と前向きに語った。

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4番大山が空振り三振に倒れ、甲子園の虎党から悲鳴とため息がもれた。だが、4点差から1点差に追い上げた。最後もオリックス守護神平野佳を2死一、二塁と攻め4番大山まで回した。1勝2敗となり本拠地甲子園で初の日本一胴上げはほぼ絶望となった。だが、岡田監督は「いやいや、もう全然切り替えられるよ、そらもう。最後、こないして追い上げとけばなあ、だいぶそら、展開も違うし」と、すぐに第4戦に気持ちを切り替えた。

4点差逆転勝利なら球団では62年の東映との第1戦以来だった。7回は3番手山岡を7番坂本、8番木浪の連打から攻め3点を奪い1点差に詰め寄り、甲子園の虎党も押せ押せムードをつくった。「いつもそういう声援もらってるから、分からへん」と笑うが、オリックスにとっては驚異となったはずだ。

敗因は「紙一重」だった。5回、1点勝ち越され、なおも1死一塁。9番投手の東の投手前へのバントで併殺を狙った伊藤将の二塁への送球が悪送球となり、その後、さらに2点を失った。「ゲッツー取れるボール(打球)やからな。それは紙一重よ」と、勝負にいった伊藤将を責めなかった。

「そんな全然。まあひとつ追い越されたけど、また明日あるし。いろいろ考えることいっぱいあるやんか」と3連投は基本させないオリックスブルペン陣のメンバーの動向などにも目を光らせる。球団では05年以来日本シリーズで12試合本塁打が出ずシリーズワースト記録をまた更新したが、粘ってつなぐ。

この日の練習後には用具搬送用のエレベーターに乗ってクラブハウスへ戻る2階の通路へ移動した。リーグ優勝の9月14日、CS第1戦、第2戦と大きな試合で負けなし3連勝だったため縁起を担いだ。試合後は「エレベーター乗らんとこ」と苦笑い。験担ぎに頼らなくても、この日の粘り腰なら2度目の日本一は自力で十分狙える。【石橋隆雄】

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