ナカジマジックが裏目に出た-。オリックス中嶋聡監督(54)の執念の采配は実らず、2勝2敗のタイとなった。先発山崎福也投手(31)を5回途中で降板させる早めの継投策。9回1死三塁のピンチで、2者連続で申告敬遠を指示。満塁策で阪神4番大山との勝負を選んだが、サヨナラ打を浴びた。2日の第5戦では2戦連続ベンチ外だった山崎颯一郎投手(25)がブルペンに入る見込み。総力戦で今度こそ2年連続の日本一へ王手をかける。

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中嶋監督は最後に勝負に出た。同点で迎えた9回1死三塁、マウンドには6番手のワゲスパック。中野、森下に2者連続で申告敬遠を指示、4番大山との対決を選んだ。「本当はね、(走者を)ためたくなかったんですけど、ボールを扱えてないといいますか。ストライクゾーンに入らないっていうのが不安材料に出ちゃったのかなと思う」。観客もどよめく中、満塁からボールが先行すると、最後はフルカウントから内角高めの直球を捉えられ、サヨナラ適時打を許した。

日本シリーズでも勝利を導いてきたナカジマジックが不発に終わった。「ミスはね、ありますし。フォアボールももちろんあるんですけど。これだけ絡んで、よく本当にこの点差ですんだなっていう感じの内容だったんでね」。5回には先発の山崎福が犠打の処理から悪送球。中堅の中川圭や三塁の宗と主力にもエラーが出た。9回のピンチも、2つの暴投から招いたものだった。「大いに反省しなきゃいけない部分もいっぱいあると思うんですけど。もう自分らが一番分かっている。それを取り返そうとする期間が短いので、それを本当に明日、なんとかやっていきたいと思います」。王手はかけられなかったが、2勝に追いつかれただけ。短期決戦で落ち込んでいる暇はない。

5回無死一、二塁で先発山崎福に代えて比嘉を投入するなど、6人を使う継投策。やりくりが必要な中で、明るい材料もある。2戦連続でベンチを外れていた山崎颯が、2日の第5戦からベンチ入りする見込みとなった。ここまで来たら、もちろん総力戦。厚沢投手コーチは「(レギュラー)シーズンは3連投はなかったですけど、日本シリーズは当日の状態を見ながら」と3連投も辞さない構えを見せた。2年連続の日本一へ。立ち止まらず、全員が最善を尽くす。【磯綾乃】

▽オリックス・ワゲスパック(サヨナラ打を浴び)「とにかく、2人目の打者に四球を与えてしまったのは自分なので。最後は彼(大山)にうまく打たれてしまった。監督がおっしゃるように準備するしかないと思う」

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