阪神が「日本一記念日」に、シリーズ王手を目指す。阪神が球団史上初の、そして現状では唯一の日本シリーズ優勝を果たしたのは、1985年(昭60)11月2日。西武との第6戦だった。

この年の阪神は、ランディ・バース、掛布雅之、そして岡田彰布らの強力打線を擁し、セ・リーグ制覇。日本シリーズでは3勝2敗とし、西武球場(現ベルーナドーム)へと戻ってきた。

阪神は初回から、2死満塁と好機をつかむ。ここで打席には長崎啓二。強烈な逆風が吹き付ける中、西武先発の高橋直樹から、右翼席へグランドスラムをたたき込んだ。球場の左半分が狂喜乱舞する中、長崎は悠然とダイヤモンドを一周。日本一へ大きく近づいた。

さらに阪神は、2回に真弓明信がソロ本塁打を放つなど、着々と加点。9回には、阪神ファンで黄色く染まった左翼席へ、掛布雅之が駄目押し2ランをたたき込んだ。投げてはリッチ・ゲイルが完投。阪神が球団初の日本一を決めた。

シリーズ3本塁打のバースが、公式戦に引き続きMVPを受賞した。ゲイル、真弓、そして長崎が優秀選手賞となった。

ナインは球場にほど近い、東京・立川市の立川競輪場に移り祝勝会を開催。約2000本のビールが、瞬く間に泡と消えた。

阪神が11月2日に試合を行うのは、このとき以来。公式戦やCS含め、37年間にわたり試合はなかった。球団最高の記念日を、新たな歴史へ前進する日にしたい。

【記録室=高野勲】(22年3月のテレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)