日本一をかけた一戦は、スターダムを一気に駆け上がった「虎の村神様」に託された。阪神村上頌樹投手(25)が、4日の日本シリーズ第6戦に先発する。

3勝2敗で38年ぶりの日本一まで王手をかけた大一番。初戦で7回無失点と好投し、勝ち投手となった敵地・京セラドーム大阪での登板だ。再びオリックス打線を抑え込み頂点奪取のイメージはできている…かと思いきや「自分で決めようとは思ってないので」と意外な返答。「何が何でもというのではなく、自分の仕事をしっかりすれば(結果は)ついてくる」。地に足をつけているからこそ、冷静な言葉が口を突く。

「王手がかかっているとか思わず、シーズン通り普通の気持ちで(マウンドに)上がりたいと思います」

昨季まで2年間で0勝の男が今季は10勝。防御率1・75でタイトルを手中にした。さらに日本シリーズで2勝を挙げれば、球団では85年ゲイル以来3人目。日本人に限れば62年村山以来61年ぶりの快挙となり、シリーズMVPも視野に入る。チームは2試合続けて劇勝しているだけに「自分もその勢いに乗りたい」と力を込める。

相手先発のオリックス山本とは、初戦に続いての投げ合いとなる。今季終了後にポスティングシステムを利用してのメジャー移籍が有力視される右腕とは、ラストバトルになる可能性が高い。「リーグが違うのにこんなに投げ合うとは思っていなかった」。交流戦では敗れており、ここまで1勝1敗。今季3度目の同い年対戦で、白黒はっきりつける時がきた。

「この前の日本シリーズはそこまで緊張せずに楽しめたので、次も楽しんで投げられればなと思っています」

智弁学園(奈良)時代の16年にセンバツを制してから7年が過ぎた。プロの世界でも頂点に立ち、最後は笑ってみせる。【中野椋】

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