前夜にベンチでうなだれていた阪神村上頌樹投手(25)が、晴れやかな顔で日本一を喜んだ。第6戦に先発して5回4失点で、相手エース山本に投げ負けていた。悔しさは忘れるはずもないが、最後は笑えた。

「応援するだけだった。ヤギさん(青柳)は気持ちが入っていて今季一番の投球だったと思います」

智弁学園(奈良)時代の16年にセンバツを制した。同世代は猛者だらけだった。「寺島(元ヤクルト)、藤平(楽天)、今井達也(西武)、高橋昂也(広島)、堀瑞輝(日本ハム)、藤嶋(中日)、早川(楽天)…。兵庫県だけでも才木(阪神)とか平内(巨人)。大阪にも高山(元日本ハム)、寺島の2番手だった投手もすごかった」。

そのトップランナーだった村上は、プロで2年間芽が出なかった。逆に「高校時代は知らなかった」という山本が球界のエースに。交わることのなかった2人が熱くした日本シリーズ。「僕と山本は全然違う、全部足りない」。彗星(すいせい)のごとく現れた右腕は、明確な目標を見つけることもできた。

シリーズでは悔しさも味わったが、10勝6敗、防御率1・75で最優秀防御率のタイトルに輝き、リーグMVP候補であることには変わりない。今オフに退寮予定。来季へスライダーなど新球種の習得も視野に入れる。独り立ちし、98年世代のど真ん中をいく。【中野椋】

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