38年ぶりの日本一に導いた阪神岡田彰布監督(65)が、現有戦力で球団史上初のセ・リーグ連覇を狙う。

6日、大阪市内の阪神電鉄本社で杉山健博オーナー(64)に、シーズン終了の報告を行った。来季へ向けた補強を問われると「全然、眼中にないよ。FAとかは」と昨年に続きFA補強封印を断言した。11日から合流する高知・安芸の秋季キャンプで来季1軍戦力となる若手野手を見定め、生え抜き中心で常勝軍団を作り上げる。

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悲願の日本一から一夜明けた。深夜のビールかけなどで睡眠時間は3時間。それでも岡田監督は「まあ、いい疲れなんでね」と晴れやかな表情でオーナー報告に臨んだ。「本当にオーナーからも感謝、ねぎらいの言葉をもらって、連覇に関しても言葉をいただきました」。話題は早くも来季に移り、杉山オーナーから球団初のセ連覇を期待されたことを明かした。

生え抜き中心のチーム編成で猛虎は復活した。その路線は来季も変わらない。今後はFA市場が本格化するが「そんなんは全然、眼中にないよ。FAとかは」と即答した。就任直後の昨秋も当時西武の森(オリックス)がFA宣言したが「いらない」と、興味を持たなかった。育成への姿勢はぶれなかった。

もちろん、戦力の底上げは必要だ。「当然、新しい力が必要よ。同じメンバーでは戦えない。上積みやな」。ドラフトでは支配下で4人の即戦力投手を指名。「やっぱり野手やな。若いので。安芸キャンプで何人か鍛えて1軍の戦力になるような戦力を作らないと」。今秋に若手野手から1~2人、来季1軍で通用する選手を見つける。

昨秋の安芸キャンプでも高卒スラッガーの井上、前川は高い評価を受け今季も1軍出場したが、チャンスをものにできなかった。故障に何度も泣かされた前川について指揮官は「ケガが長引く選手は戦力になられへんよ」と、体を鍛え、再び1軍争いに加わることを望んだ。

「大声援に選手、自分らもそうですけど、甘えずにもっともっと声援を背に自分らも力をつけて、もっともっと強いチームにしていく。それが僕らの使命だと思う」

指揮官はすでに来季をにらんだ。3日間、完全オフでリセットし、10日にキャンプ地へ移動。連覇をかけた24年シーズン、そして常勝軍団づくりへ始動する。【石橋隆雄】

▽阪神杉山オーナー 連覇を目指して頑張りましょうとお伝えした。今回、CSや日本シリーズという大舞台を経験して選手1人1人が伸びている。現有戦力でますます強くなれると思っています。私も(秋季キャンプの)視察に行きたい。