虎ジャック! 23年度「三井ゴールデン・グラブ賞」の受賞選手が10日、発表され、阪神から球団史上最多となる5人が選出された。二塁コンバート1年目の中野拓夢内野手(27)が、広島菊池の11年連続受賞を阻止し初受賞。坂本誠志郎捕手(30)、大山悠輔内野手(28)、木浪聖也内野手(29)も初で、近本光司外野手(29)が最多得票で3年連続3回目の受賞だ。阪神の二遊間同時受賞は、生え抜きなら85年岡田彰布(現1軍監督)と平田勝男(現1軍ヘッドコーチ)以来、38年ぶりとなった。

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虎を日本一に導いた若武者が、絶対的守備職人の牙城を崩した。10年連続で「広島菊池」の名前があったセ二塁手部門で「阪神中野」が輝いた。わずか3票差での受賞。「まさかコンバートしたてでとれると思っていなかった。信じられない部分が強い」と驚きを隠せなかった。

まさに野球人生を変えたコンバートだった。昨秋、岡田監督は中野の二塁起用を決断。プロで2年間務めた遊撃を離れ、昨秋のキャンプから二塁でノックを受け続けた。3月のWBCでは遊撃も守ったが、レギュラーシーズンでは二塁で全試合フルイニング出場を達成した。

「セカンドになって気持ちに余裕ができた分、ファインプレーが増えたかなと。コンバートっていう決断をしていただいて本当によかったと思っています」

岡田監督は「中野は選ばれると思ったけどな」と確信していた。「だって、一番自分がええとこ守らしたからな。能力を発揮できるとこをさ」と、あらためて「二塁中野」の決断理由を説明した。

木浪とそろって二遊間同時受賞は、球団では11年平野恵一と鳥谷敬以来。生え抜きに限れば85年岡田彰布、平田勝男以来だ。現首脳陣に続く快挙に背番号51は「追いつけたか分からないけどうれしい。2年連続で2人でとれるように」と力を込めた。

「1年とるだけでも大変。プレッシャーの中で10年間、菊池さんはプレーしてきたと思う。そこに追いつけるように、来年もとれるように頑張りたい」

大先輩へのリスペクトとともに、さっそくプレッシャーも感じている。ここから、どれだけ連続受賞できるか。中野が黄金のグラブを手にするたび、虎の守りは堅くなっているはずだ。【中野椋】

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