西武を戦力外となり、今季は北海道の社会人軟式野球「六花亭」でプレーした多和田真三郎投手(30)が2年ぶりにトライアウトに臨んだ。

シート打撃ではBC・福島佐藤、ソフトバンク居谷、ロッテ福田と対戦した。西武時代と変わらず投球時に深く沈み込むフォームを披露した。伊藤を143キロ直球で中飛、居谷を141キロ外角直球で見逃し三振にとった。福田にはフルカウントから投じた外角スライダーがわずかに外れ四球。マウンドを降りる際には「元気な姿を見せられたかな」とスタンドに3度頭を下げ、ファンからは大きな拍手が送られた。普段は軟式球でプレーする多和田が硬式球を握ったのは今月に入ってからで、ブルペンでの投球練習も4回ほどで挑んだ。昨年のトライアウトは不参加で「NPBに戻るために、去年か今年どっちかで受けようと。今日行けるという判断」とこの日に至る経緯を明かした。

普段は六花亭の社員としてフルタイムで勤務する。練習は業務終了後に行い「その日できること、体がきつかったら他のメニューに変えたり」と試行錯誤の日々だ。2年ぶりの歓声を浴び「球がどうこうっていうよりは元気な姿を見せられたのが一番」と充実感を持って話した。

多和田は富士大から15年ドラフト1位で西武に入団し、背番号18を背負った。18年にはリーグ最多の5完投、16勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得した。だが19年自律神経失調症による頻脈性不整脈と診断され、翌20年に育成選手として契約されると、21年10月に戦力外通告を受け、同年12月の12球団合同トライアウトを受けた。その後は、22年から富士大時代の恩師である青木久典氏(50)が監督を務める社会人軟式野球「六花亭」でNPB復帰を目指し、プレーを継続していた。