侍ジャパン井端弘和監督(48)が「温存策」と「再生策」を施しながら、1次リーグ1位通過を決めた。4番牧と、17日の練習で膝にボールが当たった3番森下をベンチに温存。一方で三塁で先発を続けた佐藤輝を「5番DH」で3試合連続スタメン起用した。井端監督は「DHで置いて状態を上げてほしいというところでそういう選択をした」。同リーグ3試合で、決勝先発予定の今井を除く全選手を起用し、万全の態勢で臨む。

佐藤輝の復調が決勝の鍵を握ると踏んだ。初戦から毎試合安打も、持ち前の長打力が影を潜め、打席に立たせることできっかけをつかんで欲しかった。5回先頭で右前へ運び3試合連続安打。8回の第5打席は、中飛もフェンス手前まで打球を飛ばす姿に「あれを1打席目からやってくれればいい形になる。最後の打席くらいのスイングになってくれたら、また違う結果になると思う」と復調の兆しを感じ取った。

牧に代わって4番に入った万波が逆方向へ三塁打を放ち、初出場の藤原が3安打と2四球で5出塁。指揮官は「森下選手もちょっとしたことがあり、走っている姿も重そうになっていた。間違いなく2人(牧と森下)とも疲れているんで今日休養して、明日万全できてくれれば」とブレーキを踏んでも、代わりの選手に快音。決勝進出を決めていた状況下で3連勝の結果とともに、収穫をもたらすマネジメント術を発揮した。

若侍を率いてアジア制覇まであと1つ。「WBCで世界一になってから、日本のプロ野球が明日で最後になる。いい形で終われたらいいし、全員の力で勝ちたい」。侍で始まった23年。アクセル全開で締めくくる。【栗田成芳】