「ソフトバンク前田」が誕生した。ソフトバンクのドラフト1位、大阪桐蔭・前田悠伍投手(18)が29日、大阪市内で入団交渉し、契約金1億円、年俸1000万円で仮契約を結んだ。新人入団会見で発表するとみられる背番号は、22年までのエースで現メッツ千賀がつけた「41」が有力。世代NO・1左腕は、ホークスでもエース、侍ジャパンでもエースを目指す大きな目標を掲げた。(金額は推定)

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大阪のオフィス街、中之島を一望できる会見場のガラス越しに、世代NO・1左腕は世界も見ていた。

「ソフトバンクでエースになるというところを目標にしてやっていきたい」。まずはチームを背負う覚悟を示すと、さらに「U18に選んでいただいて、そこからトップチームの日本代表は自分の中でも目標に掲げている。まずはそのスタートラインに立てるように」と続け、ホークスでも侍ジャパンでもエースを目指す心意気をにじませた。

28年ロス五輪では野球が追加競技として復活。U18W杯でエースとして高校日本代表をけん引し、初の世界一を手にした左腕は、5年後に向け「日本代表は背負いたいと常に思ってますし、まずはそのレベルに1歩でも近づけるような練習をしていかないといけないと思っているので。まずは準備というか、自分をアピールしていけたら」と語り、全力で夢に追いついていく。

いずれは、世界を封じる武器にする。150キロ近い速球に加え、前田には高校時代からプロレベルと言われた独特のチェンジアップがある。U18W杯1次ラウンドでは、前回王者の米国に対して球速を変えた2種類のチェンジアップで翻弄(ほんろう)。5回2/3を無失点の快投を演じた。「時と場合によってスピードを変えたりしている。カウント球になる時もあれば決め球になる時もある。それは使い分けています。まだ球速を操れるところまではいっていないので、これからっていう感じです」と磨きをかけ、レベルアップを図る。直球も変化球も、自在に操る投手になっていく。

ドラフト1位のプロ1年目について、小久保監督は「焦らせることはないと思いますけど、1年目だからといって1年間は体づくりというタイプの投手ではない」とデビューの可能性も示唆している。この日は1年目での先発ローテーション入りへの意欲を問われ、前田は「技術面と体作りの面で両立しながら、1日でも早く1軍に上がって活躍できたらいい」と応じた。世界への挑戦は、そこから始まる。【堀まどか】

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